有機農産物を使ったオーガニックコスメで地域興し

2016年11月18日(金) 13:00~14:00
テーマ:「有機農産物を使ったオーガニックコスメで地域興し」

(及び「JOCA推奨品マーク」について)

講師 日本オーガニックコスメ協会代表 水上洋子

講演内容の詳細

「日本オーガニックコスメ協会」の水上です。

「日本オーガニックコスメ協会」の主な活動目的は、天然成分のオーガニックコスメを普及させることです。

現代の一般的な化粧品に合成成分が使われていることに疑問を抱いたことが、2007年に「日本オーガニックコスメ」協会を設立したきっかけになっています。

最近、「地域興し」として、有機農産物を菓子類、漬物、そのほかの加工食品にすることが行われています。そんな中、新たな「地域興し」として、化粧品も注目されています。

しかし、現状の「地域興し」化粧品の全成分を見てみると、「日本オーガニックコスメ協会」としてはたいへん気になることがあります。それは「地域興し」化粧品の全成分をよく見てみると、合成界面活性剤や合成防腐剤などがけっこうたくさん使われているということです。つまり一般的な化粧品と同じように、「地域興し」化粧品にもまた合成成分が多く使われており、残念に思っています。

化粧品の主な合成成分には、次のようなものがあります。

たとえば合成防腐剤というと、代表的なものパラベンやフェノキシエタノール、合成界面活性剤というと、ラウレスー9、イシステアリン酸ポリグリセリルー2、ラウリン酸PPG-150、ポリソルベート20、などですが、「地域興し」の化粧品も、こういった合成成分がたくさん入ったものが多いというのが現状です。

化粧品の合成防腐剤は、いわば、農薬のようなものです。合成防腐剤も合成界面活性剤のどちらも、主に石油を原料として作られる合成成分で、自然界にはないものです。

それでは、本来の有機農産物の安心安全という価値そして信頼が無くなってしまいかねません。

さらにもうひとつ、化粧品の合成成分としてよく使われる成分は、植物エキスを抽出する合成溶剤です。

たとえばひとことに化粧品成分として「みかんエキス」と言っても、それを作るために使われる溶剤はいろいろあります。

つまり有機みかんを何かの溶剤に漬け込んで、エキスを抽出するのですが、そのさい、どんな溶剤を使うのかということが問題です。溶剤は、水、アルコール、植物オイル、グリセリン、そして石油から作られたBGつまり1、3-ブチレングリコールなどがあります。

ちなみに海外のこだわりのオーガニックコスメ・メーカーでは、植物エキスの溶剤は、天然醸造したアルコールか植物オイルで抽出します。

いっぽう日本の化粧品原料会社で多く使われている溶剤がBGです。BGは石油由来原料から作られる成分で、抗菌作用もあるので、この溶剤を使って植物を抽出すると、腐らない植物エキスが作れるからです。比較的、肌には害がないと言われているBGですが、化学合成物質である以上は、敏感肌の方にとって刺激にならないとは言いきれません。

植物エキスの溶剤は、化粧品の全成分に表示しなくていいキャリーオーバー成分ですので、BGは、全成分の中に表示しなくてもいいものです。そのために消費者は、「みかんエキス」と書かれた成分を見て、天然成分の化粧品と思って購入します。しかし「みかんエキス」の中に、抽出溶剤として、BGなどの石油由来成分が隠れていることもよくあり、そうなると天然成分とは言い難くなります。

何故、多くの合成成分が「地域興し」化粧品にも使われてしまうのでしょうか?

たとえば有機農家の方が、うちのみかんを使って化粧品を作りたいと考えます。

そうすると、この生産者の方が、化粧品の製造会社さんに、有機みかんを持っていき、クリームや化粧水を作りたいというと、製造会社さんは、これまでの一般的な化粧品の製造マニュアルに従って、必ず「合成防腐剤や合成界面活性剤を入れましょう」ということになります。

「いやいや、合成成分なしで作りたい」と有機農家の方が言っても、「腐ったらどうするんですか」という調子で説得され、結果的に、有機みかんエキスに合成界面活性剤や合成防腐剤がたくさん配合された化粧品になってしまうわけです。

それはこれまでの一般的な化粧品の製造マニュアルが、合成界面活性剤、合成防腐剤、合成溶剤にたよることで、腐らないようにすることが当たり前になっているからです。

オーガニックコスメは、ただオーガニック植物のエキスを使うだけではなく、合成成分にたよるこれまでの化粧品製造を見直そうということから始まっています。

もし生産者の方が、「100%天然成分の化粧品をぜひ作りたい」ということでしたら、そういう技術を持っている製造会社さんを見つけて、そこで作ってもらう必要があります。

現在、日本ではそういうことができる製造会社は限られていますが、何社かあります。

天然成分100%で化粧品を作るのは難しいという声もよく聞きます。しかし、日本のオーガニックコスメ・メーカーの進歩は素晴らしく、スキンケアはもちろん、シャンプーからメイク用品まで、ほぼあらゆるアイテムの化粧品が、天然100%で作ることが、今では可能になっています。

オーガニックコスメというと、環境先進国ドイツやヨーロッパというイメージがありますが、じつは天然100%のオーガニックコスメを作るという点では、おそらく日本は、今、世界一の水準に達していることと思います。

「日本オーガニックコスメ協会」は、有機農産物を使って、天然成分100%のオーガニックコスメを作ることを支援してします。もし生産者の方や、「地域おこし」化粧品を作りたいというご希望があれば、100%天然成分で作るために、天然の防腐剤、天然の乳化剤に詳しい製造工場を選ぶなど、そのためのポイントについて教えます。

さて、こうして地域の有機農産物を使ったオーガニックコスメを作ったとき、広報はどうしていくのかということが重要になります。やはり化粧品は、広報なしでは、市場に定着して販売し続けることが難しくなります。

そのため「日本オーガニックコスメ協会」は、昨年、「JOCA推奨品マーク」を作りました。これは消費者にとって、本当に安心安全と言える、天然100%のオーガニックコスメをわかりやすくするという目的を持って作られました。メーカー側にとっては、この推奨品マークをつけることによって、その安全性を消費者に対してアピールすることができるものです。

また「日本オーガニックコスメ協会」は、出来上がったオーガニックコスメを普及するために、「JOCA推奨品マーク」をつけることによって、消費者に安心安全であることをアピールする支援活動も行っています。

ただ今、JOCA推奨品マークを取得しているメーカーは、27社になります。

これらの推奨品取得製品については、この 「オーガニックライフスタイルEXPO」の会場で、JOCA推奨品マークのブースで展示していますので、ぜひお寄りになって、御覧になってください。「日本オーガニックコスメ協会」は、本当に安心安全と言えるオーガニックコスメを応援することによって、もっと日本に有機栽培の土地が増え、環境保全にも貢献できればと願っています。

有機農産物を使って、天然成分100%のオーガニックコスメを作ってみたいという生産者の方、地域興しとしてやってみたいという方は、日本オーガニックコスメ協会にお問い合わせください。「日本オーガニックコスメ協会」は、100%天然成分のコスメ製造方法をアドバイスし、出来上がった製品を普及するために支援しています。

ありがとうございました。