オーガニックコスメの世界統一基準の行方

安心を求める消費者にとって、オーガニックコスメの世界統一基準がいかなる方向へ向かうのかが気になるところです。2011年9月26日ソウルで開催されたIFORM世界大会のプレ会議と、同年11月1日に東京で開催された「ビオファ・ジャパン(BioFach Japan)」の展示会でのセミナーで行われたコスモス基準の関係者のスピーチから、オーガニックコスメ基準の行方を探ってみました。

左/コスモスの理事長を務める「英国土壌協会」のフランシス・ブレーク氏。右/「グリーン化学」について話したフランスの認定団体「コスモビオ」のピエール氏。

上/「コスモス」基準について発表したイタリアの「ICEA」のリチャード・アノイチンスキーさんに質問する会議参加者。下/左側から3人は、「コスモス」について発表した欧州認定団体のメンバー。

コスモス(COSMOS)とは?

日本でもオーガニックコスメの基準が話題になっていますが、じつはこの基準は、世界的に統一されたものではありません。2010年5月18日、「BDIH:ドイツ化粧品・医薬品商工業企業連名」(ドイツ)、「COSMEBIO」(フランス)と「ECOCERT」(フランス)、「ICEA」(イタリア)、「英国土壌協会」(英国)の欧州5団体が「COSMOS」を国際NPO協会として設立し、オーガニックと自然化粧品の世界統一基準(コスモス基準)を決めようと動き出しました。この設立メンバーは其々が認定機関であるため、コスモス基準は1400以上の企業、24000以上の製品をこの基準は既にカバーしていることになります。

急成長を続ける、欧州の自然化粧品

過去数年、自然、オーガニック化粧品は、欧州で着実に消費を伸ばしています。一例をあげれば、2003年、自然化粧品はドイツ化粧品市場の約2%を占めていましたが、2010年には6.2%まで上昇。今、年間成長率は約10%、バイヤー数は2006年以来、50%以上と急増加しています。ドイツだけではなく、欧州のどこでも自然化粧品が伸びています。食に対する安全が重視されるなか、肌に付ける化粧品の安全性も当然のことながら、欧州だけではなく世界的にますます重視されていくことでしょう。

いまだ、自然化粧品とオーガニックコスメの世界統一基準はない

日本では、欧州には、自然化粧品の統一基準があるかのように考える消費者が多いようですが、そういうわけではありません。欧州には既に数多くのオーガニック認定基準団体が存在し、それぞれ独自の基準を作って認定しているのが現状です。しかし2010年に欧州5団体が集まり、現在、ばらばらである基準を統一しようという動きが出てきました。
この5団体とは、「BDIH」(ドイツ)、「COSMEBIO」と「ECOCERT」(フランス)、「ICEA」(イタリア)、「英国土壌協会」(英国)です。すでにコスモスの新基準の認定を受けた最初の商品の販売が2011年の春から開始されています。それぞれの設立メンバーは皆、独自の認定機関としてのロゴ(認定マーク)を従来、持っており、当面の間、その各々に知名度があるロゴはそのまま残すことになっています。そしてコスモスの共通認定マーク(コスモスナチュラル又はコスモスオーガニック)が従来からあるロゴに付加されることになります。
この二つの認定マークを並べて使う形は2014年12月まで。それ以降は、そのメンバーは個々の基準による新製品の認定をやめ、2015年1月1日以降は全ての製品にコスモスの新基準で認定することを目指しています。

※2014年12月まで使用する認定マーク

コスモス基準の概略

コスモス基準には2種類の認定基準があります。
「コスモスナチュラル」と「コスモスオーガニック」の2つの認定レベルがあります。

  1. 「コスモスオーガニック」オーガニック原料使用の必要条件あり。
  2. 「コスモスナチュラル」オーガニック原料使用の必要条件なし。

「コスモスオーガニック」とは?

ここではとくに「コスモスオーガニック」について基準を見てみます。一般的に自然化粧品の材料は、以下のように区分することができます。

  • ミネラル成分
  • 物理的処理がされた農業系材料
  • 化学的処理がされた農業系材料
  • その他の微量成分
  • ※農業系材料とは、「農業、水産養殖、又は自然採集・収穫に由来する植物、動物、微生物」という規定になっています。

上記の自然化粧品の材料区分を踏まえたうえで、「コスモスオーガニック」認定基準の重要ポイントをまとめると以下のようになります。

  1. 原材料は自然材料(水、ミネラル、農業系材料)を極力、使用すること。なお農業系材料の処理方法は2種類です。「物理的処理」と「化学的処理」があります。
  2. 物理的処理を経る農業系材料のうち、最低95%の材料をオーガニックなものにしなくてはいけない。また物理的処理を経る農業系材料は遺伝子組み換え材料を除いたものを使用するという規定もあります。
  3. 完成製品の最低20%をオーガニックとしなくてはならない。
  4. 例外として、リンスオフ製品(Rinse-off product)は完成商品の最低10%をオーガニックとすることが求められる。リンスオフ製品とは、使った後、洗い流すもので、シャンプー、コンディショナー、液体ボディーソープなどがこれに該当します。
  5. 化学的処理を経る農業系材料は、オーガニック原材料を使用し、環境に優しい「グリーン化学」に基づく化学処理を条件にオーガニックの認定対象となることが可能です。ちなみに「グリーン化学」のいくつかの条件をあげると、「原料に対するX線・ガンマ線の照射禁止」、「非持続性成分(生分解性成分)のみが認められている」、「ナノ化したミネラル成分は使用禁止」などがあります。
    2015年1月以降、化学的処理を経る農業系材料に関しては最低30%オーガニック原料使用が求められる予定です。
  6. 水やミネラルはオーガニックとしての認定対象にならない。
  7. 石油化学系の成分や触媒、溶媒を使用してはならない。しかし、2014年12月31日迄は移行期にあるため、現在のところは例外として化学的処理を経る農業系材料について石油化学系溶媒を使用許可。また完成商品の2%を限度に石油化学成分を許可しています。
    許可されている石油系の合成保存料は、「安息香酸、サリチル酸、ソルビン酸、ペンチルアルコール、デヒドロ酢酸」などです。
    そのほかの移行期(2014年12月31日)まで使用を許可されている合成成分は、乳化剤と洗浄成分として、「両イオン合成界面活性剤」、「非イオン合成界面活性剤」「陰イオン合成界面活性剤」などの合成界面活性剤があります。

コスモス基準では、石油系の合成成分も認められている

以上のコスモス基準を読んで、安全性という点からもっとも気になるのは、7.の項目です。
「2014年12月31日迄は移行期にあるため、現在のところは例外として、化学的処理を経る農業系材料に対し石油化学系溶媒を使用許可」、さらに「完成商品の2%を限度に石油化学成分を許可」とあります。これら許可されている合成成分には、「安息香酸」、「サリチル酸」などの石油由来の合成保存料や、合成界面活性剤などがあり、現在、そうした成分が入った化粧品もコスモス基準ではオーガニックコスメとして認定されています。
食品については、世界の有機認定基準は、石油由来の合成成分である農薬や化学肥料を一切使わないことが条件になっています。しかし化粧品の有機認定基準については、石油由来の合成成分を認めるというのでは納得できない消費者も多いのではないでしょうか。
合成成分について、コスモス事務局はこう説明しています。「現在のところ、その代わりとなるものがないからです。しかし移行期の間に、許可されている石油化学物質の代わりになるものが出てくる可能性もありうるのです。そうなると本当の100%ナチュラルな化粧品だけが認定されることになります」。
ということは、はたして2015年から、100%ナチュラルな化粧品がオーガニックコスメの世界統一基準となるかどうかはまだ未定ということです。
コスモス基準は、異国間の異業種を含む多くの組織の認定基準を融合してつくられており、かなり「寛容」あるいは厳しく言うと「妥協的」な認定基準であるという声が出ているのは事実です。
欧州オーガニックコスメ基準は今後どのように収束していくのでしょうか?
これからの世界のオーガニック化粧品のあり方を決めるものになることを考えると、その行方がおおいに気になるところです。

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