化粧品と化学物質過敏症 女性たちのからだを汚染し続ける化粧品の合成成分

化粧品と化学物質過敏症
女性たちのからだを汚染し続ける化粧品の合成成分

シンナーと同じ成分がマニキュアに使用

現代の多くの化粧品は、女性たちのからだにあまりにも大きな負担をかけています。

そのことを実感したのは、ある化学物質過敏症の女性と出会ったときでした。長年、彼女は、東京でネイルサロンを経営していたのですが、ある日、突然、化学物質過敏症になってしまったとのことでした。そのため、ネイルサロンを閉めざるを得なくなり、その後は、手や指のマッサージをしたり、ナチュラルなオイルを使うなどのハンドケアのお店に切り替えたとのことでした。

次に記したのは、一般的なマニキュアの全成分の一例です。

酢酸ブチル・酢酸エチル・(無水フタル酸/無水トリメリト酸/グリコールズ)コポリマー・クエン酸アセチルトリブチル・イソプロパノール・香料・ステアラルコニウムヘクトライト・ジパルミチン酸アスコルビル・トコフェロール・マカデミアナッツ油・モモ核油・(アジピン酸/フマル酸/フタル酸/トリシクロデカンジメタノール)コポリマー・アクリル酸アルキルコポリマー・クエン酸・コーン油・ジ(C12-15)パレス-2リン酸・酸化チタン・酸化鉄・黄4・赤201・赤202
  1. 1最初の酢酸ブチル、酢酸エチルは、塗料に使う石油合成の有機溶剤で、揮発性のシンナーの原料にもなっています。両方とも法律によって、有害性のある化学物質として指定されています。高濃度で吸引すると、頭痛、吐き気、めまい、呼吸困難、意識喪失の症状が出ることがあるので注意が必要とされています。
  2. 2(無水フタル酸/無水トリメリト酸/グリコールズ)コポリマーは、アジピン酸/フマル酸/フタル酸/トリシクロデカンジメタノール)コポリマー・アクリル酸アルキルコポリマーは、粘性のある被膜形成剤で、爪に定着させる基材になりますが、これらも石油由来原料です。
  3. 3香料は、石油由来の合成香料で、揮発性があります。
  4. 4さらに色付けとして、黄4・赤201・赤202などが使われていますが、番号がついたこれらの色名は、すべてアレルギー性があるとされている石油由来の合成色素です。

こうしてみると、「マカデミアナッツ油、クエン酸、コーン油、酸化チタン、酸化鉄」以外はすべて石油由来の合成成分で、揮発性があるものがほとんどです。

他のマニキュアもほぼ似たような揮発性の合成成分が使われています。塗るときには液体で、さっと乾くことが求められます。建築や車の塗料と同じような化学物質が、マニキュアに使われているのです。こういうものを日々、使う仕事をしていれば、なるほどCS(化学物質過敏症)になっても不思議はありません。

合成成分は老化(=酸化)を促進させる

今や、マニキュアだけではなく、スキンケア、メイク用品、シャンプーにいたるまで、一般的に市場に出ている化粧品の全成分を見てみると、水とエタノール以外は、石油で作られた合成成分がオンパレードというコスメが圧倒的に多いことに驚かされます。

たとえばよく広告も出している某メーカーのクリームの全成分を見てみましょう。このクリームは、エイジングを売りにするクリームで、その価格もかなり高額と言っていいものです。

レチノール、酢酸DL-α-トコフェロール、水溶性コラーゲン(F)、濃グリセリン、精製水、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリトリット、1.3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、エタノール、メドウフォーム油、ポリエチレングリコール1000、メチルポリシロキサン、アクリル酸ナトリウム・アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム共重合体/イソヘキサデカン/ポリソルベート80、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、トリイソステアリン酸グリセリル、ベヘニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ステアリルアルコール、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.)、ジブチルヒドロキシトルエン、エデト酸三ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム、酵母エキス(3)、無水エタノール、マリンエラスチン、クララエキス(1)、カノコソウエキス、フェノキシエタノール、香料、β-カロチン

この中で、天然成分はというと、「レチノール、水溶性コラーゲン、濃グリセリン、ベヘニルアルコール、エタノール、メドウフォーム油、酵母エキス(3)、無水エタノール、マリンエラスチン、クララエキス、カノコソウエキス、β-カロチン」くらいのもので、後はすべて石油由来の合成成分です。

「レチノール」は、合成ビタミンAでアンチエイジング成分として有効ということになっていますが、成分抽出の過程で合成成分や合成防腐剤が使われています。同時にそのほかの天然成分もどのような溶剤で抽出しているかはわかりません。おそらく石油系の溶剤で抽出されていたり、合成防腐剤が使用されるのがほとんどなので、本当の意味での天然成分とは言いがたいものになります。

しかし多くの女性たちは、化粧品が何で作られているのかは気にも止めず、メーカーが発信するイメージ広告やうたい文句に魅了されるままに、化粧品を使い続けています。

近年、以前にはなかったアレルギーやアトピー、そしてCSなどの疾患が世代を超えて増え続けています。その一因として、女性たちが使う化粧品も大きく関与しています。

基本的に主に石油から合成された成分は、細胞を酸化させてしまうため、エイジングケアどころかかえって肌の老化を速めてしまいます。

化粧品の全成分をみても、ほとんどの女性はひとつひとつの成分が何からできているのかを知らないまま、デザインやうたい文句だけで化粧品を購入しています。

「女性が化学に弱い?」ことを良いことに、あまりに合成成分が多いコスメが販売され続けています。それは必ず「経皮毒」となって、ある日、深刻な症状を発症します。

アレルギーやアトピー、そしてCSに悩む方々は、まずは食品の添加物や芳香剤や殺虫剤などは避けるようにしますが、意外にも化粧品は見逃されていたりします。

しかし華やかなCMや広告は、女性たちの視線を化粧品の本当の中身から反らしてしまい、あたかもサイレンの歌に誘惑される船人のように美しいイメージに誘われるがままにふらふらと購入してしまうわけです。

化粧品の合成成分で子供たちも汚染されてしまう!

女性たちがあまりにコスメメーカーの華やかなCMや広報に踊らされて、化学物質を体内に蓄積してしまう結果になっていることに危機感を抱かざるを得ません。

女性が子供の母親になることを考えると、その母体がすでに、美しさを求める行動の中で、汚染されているというのは、本当に怖いことです。

さらに、そのような化粧品を買うことに慣れた母親たちが、さしたる疑問を抱くことなく、赤ちゃんや子供たちにも合成成分でいっぱいのスキンケアやシャンプーを使うことです。

ぜひとも化粧品の全成分がわかる女性を増やさなければ、本人の健康はもちろん子供やその家族にも、病気やアレルギーが広がってしまう!

女性は化学が苦手だからで済まされる問題ではなく、次の世代にも関わってくる問題です。

そんな危機感から、2010年から「日本オーガニックコスメ協会」は、オーガニックコスメ・アドバイザー講座を開催することにしました。

さらに2017年、「日本オーガニックコスメ協会」は、JOCAマークを作りました。

これは、たとえ化粧品の成分がわからない人でも天然成分100%の化粧品を選べるようにするためのものです。

もし女性たちのからだに様々な問題が表れていたら、それは必ず子供たちに及びます。

ぜひ女性たちにもっと化粧品のことを知ってもらいたい。

自分を守り、そして子供や家族を守るワイズウーマンが増えてほしい。

そんな思いを抱きながら、「日本オーガニックコスメ協会」は、活動を続けています。

2022年7月19日