化粧品と環境ホルモン

オーガニックライフというと、とかく食べ物に目が向けられがちです。

有機農産物や食品添加物を使っていない加工食品を摂ることで、たしかに体内の化学物質をおおいに減らすことができます。

でもいっぽうで見落とされているのが、化粧品の「経皮毒」。

実は化学物質は、化粧品を使うことによって肌からも侵入して、体内に蓄積し、アレルギーや病気の原因となっています。

天然成分100%の化粧品を使うことは、素肌だけではなく、体の健康を守るうえでも大切なことなのです。

パラベンが乳がんの原因に?!

「化粧品は、直接口に入れるものではないので、食べ物ほど気をつけなくても大丈夫」と思っていませんか? しかしそれは、健康にとって大変危険な思い込みです。

アメリカの有害物質専門家のイヴォンヌ・バーカート博士は、化粧品に含まれる化学物質が、ニセのホルモン(=環境ホルモン)となって働くと警告しています。

例えば化粧品に使われるもっとも一般的な合成防腐剤パラベンは、肌を通して体内に入り、脳、胸、性器などにある女性ホルモン受容体に達すると、ホルモンと同じ働きを発揮して、細胞の増殖を行う指令を下すというのです。

通常、ホルモンは必要なときに必要な量だけ、私たちの体内で作られます。しかし化粧品に含まれる化学物質は、肌からやってきたニセのホルモンとなって身体に入り、影響を及ぼすことに。その結果、近年、増え続けている乳がんに罹るリスクを高めてしまうことになるのです。

ほんの少しの量で作用するホルモン

ホルモンは、ほんのわずかな量で働きを開始することができます。化粧品に使われているパラベンは、量がわずかなので問題がないと言われてきました。しかし環境ホルモンという視点から見ると、決して「少ないから大丈夫」とは言えないことがわかってきます。

たいへん怖いことに、一般的な化粧品で、最も多く使われている合成防腐剤が、パラベン(表示名称・メチルパラベン、プロピルパラベンなど)です。パラベンは、1パーセント以上、使ってはいけないという規制があります。つまり100mlの化粧水であれば、1ml未満なら使うことができるのです。

しかし環境ホルモンという視点からみると、それは決してわずかな量とは言えません。なにしろ一生のうちに分泌される女性ホルモンの量は、たったティースプーン一杯(5ml)というのですから。そのようにホルモンは微量なナノ単位量で働くことができるのです。

イヴォンヌ博士は、「合成成分の化粧品をつけるということは、大量の環境ホルモンに暴露されることになる」と警鐘を鳴らしています。

ほぼ毎日、多くの女性は化粧品を使っているわけですから、いわばニセのホルモンを肌から大量に吸収し、身体に悪影響を与えていることになります。

イヴォンヌ博士は、パラベンだけではなく、合成ポリマーや合成界面活性剤もまた環境ホルモンになりうる化粧品成分であることを明らかにしています。そんな博士の警告は、化粧品を使う女性のほうが男性よりも乳がんや化学物質過敏症になることが多いという現状にも表れています。

化学物質フリーの化粧品で乳がん発病率のレベルが下がった!

イヴォンヌ博士は、化粧品と環境ホルモンの関係について、ある興味深い実験をしています。

41人の乳がんにかかった女性を対象に、28日間、まったく化学物質を含まない化粧品を使ってもらったのです。実験終了後、ほとんどの被験者のガンのレベルが下がったという結果が出たのです。この実験から化学物質を含む化粧品は、肌荒れの原因になるだけではなく、より深刻な影響を体に及ぼしていることが明らかになりました。

イヴォンヌ博士は、昨今、若年層のガンが増えていると指摘し、その理由は女性が早い年齢から化粧品を使うようになっていることをあげています。

「アメリカでは、12歳以下の子供たちまで、メイクをするようになってきています。ガンといえば、これまで60代以上の病気でしたが、20代や30代でもガンになる人が増えています。体内で蓄積される化学物質がある量を超えると、それが病気となって表れるのです」。

しかしそのような状況は、アメリカに限ったことではなく、日本でも同じです。小学生向けにメイクの雑誌が販売されたり、若年層のガンが増えたりしています。

わからない成分が入った化粧品は使わない

イヴォンヌ博士によれば、深刻な病気にかかりやすくなるリスクを回避するために、まず心がけたいことは、
「とにかく化学物質が入っていそうな化粧品は避ける、よくわからないものは使わないことです」。

化学物質フリーの化粧品を選ぶことは、美容のためだけではありません。それは自らの体の健康を守るために重要なことなのです。