(英語スライド版)日本のオーガニック・自然派コスメ市場の現状、及び今後の行方

ドイツ連邦経済・エネルギー省主催
ドイツ化粧品・トイレタリー・香水シンポジウム

虎ノ門ヒルズフォーラム 2017年11月7日(火) 15:25~16:45
テーマ:「日本のオーガニック・自然派コスメ市場の現状、及び今後の行方」

講師 日本オーガニックコスメ協会代表 水上洋子

講演内容の詳細

» The version of Japanese slides

Japan Organic Cosmetics Association (JOCA) Present and Future of the Japanese Natural and Cosmetics Market
  100% Natural organic cosmetic products will be well received by Japanese consumers

今日は、「日本のオーガニック・自然派コスメ市場の現状、及び今後の行方」というテーマでお話しさせていただきます。

日本の消費者がオーガニックコスメを支持する理由

日本では今や、オーガニック・自然派コスメに対する関心は、今や一時的なものではなく、継続的なものになっています。

雑誌でもよく特集が組まれたり、大手デパートでオーガニックコスメ専門コーナーが作られたりオーガニックコスメのイベントが開催されたり、オーガニックコスメ専門ショップも出て、売り上げを伸ばしています。

日本で、オーガニックコスメという言葉が、消費者の間で使われるようになったのは、早くも2003年頃です。ヨーロッパに比べても、その言葉が使われたのは、ずいぶんと早かったと思います。

日本でオーガニックコスメが伸びているひとつの理由は、日本人は、伝統的に自然を愛する国民であり、自然に畏敬の念を抱いていることがあります。

つまり化粧品の安心安全を追求していくと、合成成分を使っていない、天然100%の化粧品というイメージが消費者の間に形成されやすい状況がもともとあると言えます。

そのため環境保全先進国ドイツの自然派コスメは、容易に日本の消費者の間に受け入れられました。

ちなみに、消費者の期待に応えるために、早くから日本のオーガニックコスメ・メーカーもまた、天然100%でオーガニックコスメを完成させという困難な技術に取り組んできており、その技術は、今では世界の中でもたいへん高いものになっています。

オーガニック・自然派コスメの売り上げ伸び率について

さて、日本全体のオーガニックコスメ&自然派コスメの販売状況についてお話しします。

The market for natural and organic cosmetics in Japan In 2016, the market for natural and organic cosmetics was 117,5 Billion JPY in size, making it 0,5% of the whole market for cosmetics in Japan. However, the market for natural and organic cosmetics is growing faster than the market for general cosmetics. Cosmetics without additives make up about 10% of the whole cosmetics market and  this consumer group is likely to switch to natural and organic cosmetic products in the future.

2016年、国内の全体的な化粧品の総売上高は、2015年(2兆4,475億円)に比べて、2.5%増の2兆5077円でした。

いっぽうそのうちの自然派・オーガニック化粧品の売上高は、前年度(1175億円)比べて4.6%増の1,229億円、2017年も市場の拡大が予測されています。

オーガニック・自然派コスメは、売上高の規模は、全体的な化粧品の約5%ですが、その伸び率は一般的な化粧品の1.8と、約2倍近く高いことが示されています。その高い伸び率は、近年、肌トラブルに悩む女性が増加していることから、安全安心志向が高まっていること、そしてまた環境と共生するオーガニックなライフスタイルを好む消費者の増加などが理由と思われます。

またもうひとつ、日本の特別な化粧品分類として、「無添加化粧品」というものがあり、これも化粧品の安全性にこだわる消費者に支持されています。

「無添加化粧品」は、化粧品全体の10%の売り上げがあります。「無添加化粧品」の消費者も化粧品の成分にこだわる消費者なので、今後、この層がオーガニック・自然派コスメの購入者となる可能性が高いと言えます。

その結果、日本では今後、潜在的なユーザーになる消費者も併せて約10.5%がオーガニック・自然派コスメに関心がある層と言えます。

日本の消費者と自然・オーガニックコスメ

さてここで1960年代以降の日本の化粧品の歴史をざっと見ていきます。

History of the development of consumer awareness for natural and organic cosmetics ‘60sCosmetics become popular(Mostly consisting of synthetic ingredients on a petrochemical basis)‘70sIncidents of damage done by cosmetics occur「Riehl Melanosis」 1996Cosmetics without additives appear on the market1998Natural cosmetics begin to gain popularity2001The Japanese book 「Organic Cosmetics」 gets published2003Organic cosmetic products appear on the market

化粧品の歴史をふり返ることで、日本のオーガニック・自然派コスメ・ブームは一時的な流行ではなく、今後、さらに支持する消費者が増えていくものであることがわかることと思います。

今では、「化粧品は、ムードではなく成分で選ぼう」というのが、「日本オーガニックコスメ協会」の最も重要なメッセージですが、じつは消費者が化粧品を成分で選びたくても、そうできない長い時期がありました。

というのも、1950年代から2001年の約半世紀、日本では化粧品の成分は企業秘密で良かったからです。容器や箱に化粧品の全成分を記載しなくて良かったのです。

そのため消費者は、化粧品が何で作られているのかという内容のことは知らないまま、CMやパンフのうたい文句、容器のデザインなど、つまりムードで化粧品を選ぶほかありませんでした。

ところが1970年代に「リール黒皮症」という化粧品被害が日本で社会問題となりました。「リール黒皮症」は、別名、「女子顔面黒皮症」という怖い名前です。じつは私自身もこの時期から少し遅れてのことですが、「女子顔面黒皮症」の被害者になりました。

「女子顔面黒皮症」の女性被害者たちは、大阪市で裁判を起こし、日本のメディアを騒がせました。そこであらためて日本の消費者たちは、化粧品の原料は何から作られているのかという疑問を持つようになったのです。

1980年、日本政府は、こうした日本で起きた化粧品被害を防止するために、アレルギー性の高い化粧品成分102種類を選び出しました。当時はまだ化粧品は全成分を表示しなくて良かったのですが、政府が選び出した102種類の化粧品成分が使われている場合は、それだけは、パッケージや容器に表示するようにとメーカーに義務づけました。

そのためこれらの成分は、「102種類の表示指定成分」と呼ばれました。

それまで日本の消費者は、化粧品が何から作られているのか、まったく情報がなかったのですが、ようやく一部だけわかるようになったわけです。

化粧品成分に安心安全が求められる

そのように日本の消費者が、安心安全な化粧品に関心を持ち始めたきっかけは、早くも1980年代から始まります。

日本ではその後、「無添加化粧品」というものが出てきて、急速に売りあげを伸ばしました。無添加化粧品というと、合成成分をまったく使っていない化粧品と考える人が多いのですが、そうではありません。先に述べた、日本の政府が選んだアレルギー性のある「102種類の表示指定成分を抜いたものが、無添加化粧品です。

日本では、1万種類以上の化粧品成分が使われており、その大半は、合成成分ですから、102種類の成分を省いても、それ以外の合成成分を使った化粧品を作ることもでき、それが無添加化粧品と呼ばれているのです。

無添加化粧品は2000年から2005年までは急速に延びますが、その後、無添加化粧品の伸びは止まり、代わりにオーガニックコスメやナチュラルコスメが伸び始めました。

これは消費者が、無添加化粧品にもかなり合成成分が使われていることを知るようになり、もっとナチュラルな化粧品を求めた結果と言えます。

全成分が日本で義務づけられる

ようやく2001年には、欧米にならって、ようやく日本でも全成分表示が義務付けられました。

しかし全成分表示がされたからといって、すぐに日本の多くの消費者が化粧品は、石油から作られた合成成分が多用されていることがわかったわけではありません。石油から作られた合成成分の名前が難しいしいこと、そしてその数があまりに多いからです。現在、日本で使用されている化粧品成分は、1万種類以上にもなります。

全成分表示が施行されても、コマーシャルやデザインで化粧品を買う消費者が多かったわけですが、そのことに疑問を抱き、「化粧品の成分を知って買おう」というNGO団体の活動が出てきました。

そうした活動のひとつが、「オーガニックコスメ」という本の出版となって出てきました。

<The beginnings of organic cosmetics in Japan>

The words “organic cosmetics” appeared in Japan for the first time in 2001.
The reason: A book!

The message of the book
Select cosmetics not depending on you mood, but rather depending on their ingredients!

The fact that organic cosmetics became popular in Japan is not the result of the manufacturers’ endeavors, but rather due to promotional activities of environmental NGOs.

オーガニックコスメという言葉は、世界で初めて日本から出てきた

日本ではもともと自然派コスメという言葉がありましたが、その後、2001年にオーガニックコスメという言葉が日本で初めて出てきました。

東京で「オーガニックコスメ」というタイトルの本が出版されたのです。この本のおかげで、「オーガニックコスメ」という言葉は、日本ではヨーロッパよりも早くその言葉が使われ始めました。

この本には、「化粧品はムードではなく、成分で買おう」というメッセージが込められていました。

この本を制作したのは、環境NGOアイシスガイアネットでした。

「オーガニックコスメ」という言葉は、この単行本のタイトルとして製作した環境NGOが造ったもので、それで誕生した造語です。2001年2月のことです。

それは今までになかったキーワードで安心安全なコスメを表現できる言葉として、環境NGOの編集チームが中心となって作り出した造語でした。

ですからこの2001年から、オーガニックコスメという言葉は、日本で初めて誕生し、そして歩き始めました。この本は、まさに日本でオーガニックコスメという考え方を普及していく上で大きな貢献をしました。

2001年は、化粧品にとって、重要なことがいろいろとあった年です。この年は、日本で化粧品の全成分表示が始まった年ですが、偶然にも、2001年は、ドイツで、世界で初めて「BDIH」がナチュラルコスメの基準を作り、実地した年です。

この「オーガニックコスメ」という本の中でも、「BDIH」がナチュラルコスメの基準についての記事が掲載されています。

そして「日本オーガニックコスメ協会」は、このオーガニックコスメという単行本を製作した環境NGOアイシスガイアネットを母体として、消費者の立場から、本当に安心できる化粧品情報を伝えるために新たに一般社団法人として設立されました。

日本オーガニックコスメ協会の活動

ここで「日本オーガニックコスメ協会」について、どんな活動をしているのかについて、簡単にご説明させていただきます。2007年に設立された「日本オーガニックコスメ協会」の活動は、世界のオーガニックコスメ認証団体、各オーガニックコスメ・メーカーを取材することから始まりました。協会の活動目的は次になります。

  1. 消費者の立場を優先して、安全なオーガニックコスメを普及する。
  2. 人と環境の美と健康を守る有機製品を普及する。

具体的活動としては次になります。日本の消費者に向けて、本当に安心安全と言えるオーガニックコスメを普及するために、本の発行、雑誌の記事掲載、セミナー、イベントの開催、オーガニックコスメ講座などの活動をしてきました。



Activities of the Japan Organic Cosmetics Association



Purpose Prioritizing the position of consumers and making safe organic cosmetics wider knownSpecific activities1 Collect and publish information on certification standards of organic cosmetics worldwide2 Engage in educational activities about organic cosmetics for consumers3 Provide information via publications and the internet

オーガニックコスメ普及のための出版活動

「日本オーガニックコスメ協会」の消費者教育として最も重要なのは出版活動です。単行本「オーガニックコスメ」をシリーズ化し、2,3年おきに本を発行してきました。内容は、日本国内で購入できる安心安全な化粧品を紹介しています。

History of the popularization Organic cosmetics in Japan: From the beginnings until now
Organic cosmetics book series

Supervised by the Japan Organic Cosmetics Association

 Since 2001: With the publication of the books it was possible to increase the recognition and trust in natural and organic cosmetics.

もともと「オーガニックコスメ」シリーズは、安全な化粧品を消費者に知らせるという目的を持って、発行されたのですが、デパートや特色のある売り場作りをしているバイヤーさんに着目されるようになりました。そしてバイヤーさんたちは、この本に掲載された化粧品を集めて、オーガニックコスメコーナーを作り始めたのです。そして今ではこの本は、「バイヤーさんの化粧品バイブル本」とも言われるまでになっています。

つまり一冊の本が、売り場を作り出し、それによってオーガニックコスメが広がっていったのです。安心安全な化粧品という情報にこだわった一冊の本から、具体的な売り場が出来、それに刺激を受けたメーカーが新たなオーガニックコスメブランドを作るという循環が生まれました。

ちなみにこの本でも、ドイツでよく知られている自然化粧品ブランドのドクターハウシュカやロゴナ、ラヴェーラ、ヴェレダが紹介されています。

おそらくアジアの中では、日本の消費者は、もっともドイツの自然化粧品ブランドについて知っていますが、それはこの本のシリーズのおかげと言っていいでしょう。

この循環がたいへんうまくいったことから、日本では早くから、ドイツのオーガニックコスメが一般の消費者の間に浸透していきました。

そのように日本のオーガニックコスメは、化粧品販売の会社やマーケティング戦略の専門家がしかけたものではなく、安心安全な製品を知らせたいという環境NGO活動から始まり、それがひとりひとりの消費者の支持を集めるという、自発的な草の根運動という形で広がっていったのです。

オーガニックコスメ講座の開催

オーガニックコスメを普及していくには、化粧品の成分に詳しい消費者を増やしていくことが重要です。何故なら、そうすることによって、オーガニックコスメがこれまでの化粧品とどう違うのか、何故、安心安全なのかを知らせ、オーガニックコスメの価値を伝えることができるからです。

つまりオーガニックコスメの普及には、消費者教育というものが欠かせません。

そのため「日本オーガニックコスメ協会」は、日本各地でオーガニックコスメセミナーを開催し、消費者に合成成分と天然成分の見分け方などについて講義をしてきました。


Organic cosmetics and educational activities for consumer Educational activities for consumers by environmental NGOs Contribute to the popularization of organic cosmetics■Result of educational activities:     Many consumers in Japan check the ingredients of cosmetics before making a purchase■Consumer knowledge and safety:      Continuous support of safe organic cosmetics products through increased knowledge of consumers

ちなみのこの写真は、茨城県の水戸市の高校生に、「日本オーガニックコスメ協会」の講師が教えている様子です。

また「日本オーガニックコスメ協会」は、消費者向けの通信講座である「オーガニックコスメ・アドバイザー講座」を開催しています。この講座には、日本全国のオーガニックコスメに関心がある人が受講しています。

日本の消費者は、オーガニックコスメは天然成分100%と考えている

さて日本では、消費者が、安心安全な化粧品を選ぶために、海外の認証マークを目安にしている人もいます。またいくつかの日本のメーカーも海外の認証を取得しています。日本でよく見かける化粧品の認証マークは、エコサートやアメリカのUSDAオーガニック、ときどきBDIHも見かけます。


Overseas certification seals that are being used in Japan
 ●Ecocert●USDA Organic●BDIH●COSMOS Organic

ヨーロッパのオーガニックコスメ基準の問題点

しかしヨーロッパのオーガニックコスメ基準ですが、一部の石油系の防腐剤が使われていることで、不信感を持っている日本の消費者もおり、そのことはブログでも記事になって出ています。

たとえばヨーロッパの認証マークがついているのに全成分をみると、「安息香酸ナトリウム」が入っているのは、何故ですかという質問が、日本オーガニックコスメ協会によく来ます。「安息香酸ナトリウム」は、石油原料の合成防腐剤です。

Japanese consumers way of thinking:
“Organic cosmetics should aim to be 100% natural.“Doubts of Japanese consumers■ Even though the product is certified according to a European organic cosmetic certification, why does it contain synthetic preservatives (like benzoic acid)?Conclusion■  Japanese consumers will prefer organic cosmetics with 100% natural ingredients

「日本オーガニック協会」としては、それは一部の合成防腐剤が、その認証団体の基準で認められているからですよ」と説明するのですが、問い合わせてくる人は、容易に納得はしません。というのも、この「安息香酸ナトリウム」は、先に述べましたが、1980年代に日本政府が定めた、アレルギー性がある「102種類の表示指定成分」に入っているからです。

日本の消費者は、オーガニック・自然派コスメの認証マークを取得している化粧品は、石油成分は一切、使われていないというイメージを抱いているのです。またかなり化粧品の成分についても、知っている人が増えています。とくにオーガニックコスメを購入する人は、化粧品の成分についてよく勉強しています。

日本オーガニックコスメ協会のJOCA推奨品マーク

「日本オーガニックコスメ協会」は、消費者の声に応える形で、独自のオーガニックコスメ推奨品マークを作りました。

このオーガニックコスメ推奨品は、「日本オーガニックコスメ協会」が15年以上にわたって、単行本「オーガニックコスメ」シリーズを発行してきた経験と、世界の認証団体を取材してきた経験をもとにして、その基準を定め、それを普及するために推奨品マークを作りました。

Creating a seal from the standpoint of consumers
JOCA seal for recommended items <Reference condition> ■100% natural ingredients(Preservatives and emulsifiers also need to be natural)<Purpose of the recommendation seal> ●Highlighting the product safety from the consumers’ viewpoint, rather than promoting the product for sales purposes

「日本オーガニックコスメ協会」の推奨品マークは、天然成分100%のオーガニックコスメを使いたい人のために作られました。

「日本オーガニックコスメ協会」の推奨品マークの基準は、一切の石油原料成分をすべて使用禁止にしています。

「日本オーガニックコスメ協会」の推奨品マークは、厳しい基準を定めることによって次のことを目標にしています。

  1. 消費者が、100%天然成分の化粧品を選びやすいようにすること。
  2. 安全なオーガニックコスメを製造するメーカーの指針になること。

本当に安心安全といえるオーガニックコスメの普及

オーガニックコスメを使う日本の消費者は、次の3点を考えながら、製品を選ぶ消費者も多いのです。

  • 素肌にとって安全性が高いのは天然成分。
  • 温暖化の原因となり、持続可能ではない石油原料は良くない
  • 合成成分は、自然界を汚染するので使いたくない。

Natural and organic cosmetics 
and consumer consciousness ■Natural ingredients are very safe for the skin.■The use of petrochemicals is not recommended, as they are not sustainable and contribute to global warming.■Synthetic components contribute to the contamination of the nature. “100%” organic cosmetics help protect human health and the global environment.

天然成分100%の自然派・オーガニックコスメが日本の消費者から歓迎される

日本のオーガニックコスメに関心がある層は、高い環境意識を持ち、また化粧品の成分について学ぶことも熱心です。

そのため石油合成成分が入り混じったコスメよりも、やはりしっかりと天然成分100%で作ったオーガニックコスメが歓迎されることが予想されます。

日本でドイツの製品を普及していくための広報として、製品の良さや安心安全性をアピールすることに加えて、その企業が、地球環境に配慮した取り組み、たとえば再生可能エネルギー推進、森林保護、動物愛護などをアピールすることも重要です。

環境を守る企業姿勢もまた、自然を愛する日本消費者にたいへん歓迎され、それが購入につながることになります。

真のオーガニックコスメの製品作りの姿勢は、実はこの21世紀において、化粧品の分野だけではなく、ほかの製品作りにおいても求められるものです。

産業革命以来、何かを生産し、販売していくことは、ともすれば環境保全とは相容れないものという考えがありました。

しかしオーガニックコスメの普及は、地球環境と共存する製品の普及という、新時代にふさわしい方針を示すことにもつながります。

そのような真のオーガニックコスメの普及は、環境を守る上でもたいへん大きな意味があることと日本オーガニックコスメ協会は考えています。

ぜひ国境を越えて、地球環境と人にとって安心安全なオーガニック製品を普及するという共通の目標を持って協力しあえるネットワークが、環境保全先進国であるドイツの皆様と日本の間にできればたいへん嬉しいことと、「日本オーガニックコスメ協会」は考えています。

ご清聴、ありがとうございました。

日本のオーガニック・自然派コスメ市場の現状、及び今後の行方

ドイツ連邦経済・エネルギー省主催
ドイツ化粧品・トイレタリー・香水シンポジウム

虎ノ門ヒルズフォーラム 2017年11月7日(火) 15:25~16:45
テーマ:「日本のオーガニック・自然派コスメ市場の現状、及び今後の行方」

講師 日本オーガニックコスメ協会代表 水上洋子

講演内容の詳細

» The version of English slides

JOCA日本オーガニックコスメ協会 日本のオーガニック・自然派コスメ市場の現状、及び今後の行方 天然100%のオーガニックコスメを   日本の消費者は、歓迎する

今日は、「日本のオーガニック・自然派コスメ市場の現状、及び今後の行方」というテーマでお話しさせていただきます。

日本の消費者がオーガニックコスメを支持する理由

日本では今や、オーガニック・自然派コスメに対する関心は、今や一時的なものではなく、継続的なものになっています。

雑誌でもよく特集が組まれたり、大手デパートでオーガニックコスメ専門コーナーが作られたりオーガニックコスメのイベントが開催されたり、オーガニックコスメ専門ショップも出て、売り上げを伸ばしています。

日本で、オーガニックコスメという言葉が、消費者の間で使われるようになったのは、早くも2003年頃です。ヨーロッパに比べても、その言葉が使われたのは、ずいぶんと早かったと思います。

日本でオーガニックコスメが伸びているひとつの理由は、日本人は、伝統的に自然を愛する国民であり、自然に畏敬の念を抱いていることがあります。

つまり化粧品の安心安全を追求していくと、合成成分を使っていない、天然100%の化粧品というイメージが消費者の間に形成されやすい状況がもともとあると言えます。

そのため環境保全先進国ドイツの自然派コスメは、容易に日本の消費者の間に受け入れられました。

ちなみに、消費者の期待に応えるために、早くから日本のオーガニックコスメ・メーカーもまた、天然100%でオーガニックコスメを完成させという困難な技術に取り組んできており、その技術は、今では世界の中でもたいへん高いものになっています。

オーガニック・自然派コスメの売り上げ伸び率について

さて、日本全体のオーガニックコスメ&自然派コスメの販売状況についてお話しします。

日本のオーガニック・自然派コスメ市場 2016年オーガニックコスメ・自然派コスメは、1175億円一般化粧品全体の売り上げの0.5%しかし一般化粧品より高い伸び率無添加化粧品は、 化粧品全体の売り上げの約10%この層も、今後、オーガニックコスメ・自然派コスメのユーザーになる可能性が高い。

2016年、国内の全体的な化粧品の総売上高は、2015年(2兆4,475億円)に比べて、2.5%増の2兆5077円でした。

いっぽうそのうちの自然派・オーガニック化粧品の売上高は、前年度(1175億円)比べて4.6%増の1,229億円、2017年も市場の拡大が予測されています。

オーガニック・自然派コスメは、売上高の規模は、全体的な化粧品の約5%ですが、その伸び率は一般的な化粧品の1.8と、約2倍近く高いことが示されています。その高い伸び率は、近年、肌トラブルに悩む女性が増加していることから、安全安心志向が高まっていること、そしてまた環境と共生するオーガニックなライフスタイルを好む消費者の増加などが理由と思われます。

またもうひとつ、日本の特別な化粧品分類として、「無添加化粧品」というものがあり、これも化粧品の安全性にこだわる消費者に支持されています。

「無添加化粧品」は、化粧品全体の10%の売り上げがあります。「無添加化粧品」の消費者も化粧品の成分にこだわる消費者なので、今後、この層がオーガニック・自然派コスメの購入者となる可能性が高いと言えます。

その結果、日本では今後、潜在的なユーザーになる消費者も併せて約10.5%がオーガニック・自然派コスメに関心がある層と言えます。

日本の消費者と自然・オーガニックコスメ

さてここで1960年代以降の日本の化粧品の歴史をざっと見ていきます。

オーガニック・自然コスメに対して
消費者意識が育つまでの歴史 1960年代~一般的なコスメ普及(石油原料の合成成分が主体)1970年代~化粧品被害問題浮上「リール顔面黒皮病」1980年アレルギー性のある「102の表示指定成分」を政府が提出。 1996年~無添加コスメが市場に出る1998年~ナチュラルコスメが伸びる2001年単行本「オーガニックコスメ」発行2003年~オーガニックコスメが市場に出る

化粧品の歴史をふり返ることで、日本のオーガニック・自然派コスメ・ブームは一時的な流行ではなく、今後、さらに支持する消費者が増えていくものであることがわかることと思います。

今では、「化粧品は、ムードではなく成分で選ぼう」というのが、「日本オーガニックコスメ協会」の最も重要なメッセージですが、じつは消費者が化粧品を成分で選びたくても、そうできない長い時期がありました。

というのも、1950年代から2001年の約半世紀、日本では化粧品の成分は企業秘密で良かったからです。容器や箱に化粧品の全成分を記載しなくて良かったのです。

そのため消費者は、化粧品が何で作られているのかという内容のことは知らないまま、CMやパンフのうたい文句、容器のデザインなど、つまりムードで化粧品を選ぶほかありませんでした。

ところが1970年代に「リール黒皮症」という化粧品被害が日本で社会問題となりました。「リール黒皮症」は、別名、「女子顔面黒皮症」という怖い名前です。じつは私自身もこの時期から少し遅れてのことですが、「女子顔面黒皮症」の被害者になりました。

「女子顔面黒皮症」の女性被害者たちは、大阪市で裁判を起こし、日本のメディアを騒がせました。そこであらためて日本の消費者たちは、化粧品の原料は何から作られているのかという疑問を持つようになったのです。

1980年、日本政府は、こうした日本で起きた化粧品被害を防止するために、アレルギー性の高い化粧品成分102種類を選び出しました。当時はまだ化粧品は全成分を表示しなくて良かったのですが、政府が選び出した102種類の化粧品成分が使われている場合は、それだけは、パッケージや容器に表示するようにとメーカーに義務づけました。

そのためこれらの成分は、「102種類の表示指定成分」と呼ばれました。

それまで日本の消費者は、化粧品が何から作られているのか、まったく情報がなかったのですが、ようやく一部だけわかるようになったわけです。

化粧品成分に安心安全が求められる

そのように日本の消費者が、安心安全な化粧品に関心を持ち始めたきっかけは、早くも1980年代から始まります。

日本ではその後、「無添加化粧品」というものが出てきて、急速に売りあげを伸ばしました。無添加化粧品というと、合成成分をまったく使っていない化粧品と考える人が多いのですが、そうではありません。先に述べた、日本の政府が選んだアレルギー性のある「102種類の表示指定成分を抜いたものが、無添加化粧品です。

日本では、1万種類以上の化粧品成分が使われており、その大半は、合成成分ですから、102種類の成分を省いても、それ以外の合成成分を使った化粧品を作ることもでき、それが無添加化粧品と呼ばれているのです。

無添加化粧品は2000年から2005年までは急速に延びますが、その後、無添加化粧品の伸びは止まり、代わりにオーガニックコスメやナチュラルコスメが伸び始めました。

これは消費者が、無添加化粧品にもかなり合成成分が使われていることを知るようになり、もっとナチュラルな化粧品を求めた結果と言えます。

全成分が日本で義務づけられる

ようやく2001年には、欧米にならって、ようやく日本でも全成分表示が義務付けられました。

しかし全成分表示がされたからといって、すぐに日本の多くの消費者が化粧品は、石油から作られた合成成分が多用されていることがわかったわけではありません。石油から作られた合成成分の名前が難しいしいこと、そしてその数があまりに多いからです。現在、日本で使用されている化粧品成分は、1万種類以上にもなります。

全成分表示が施行されても、コマーシャルやデザインで化粧品を買う消費者が多かったわけですが、そのことに疑問を抱き、「化粧品の成分を知って買おう」というNGO団体の活動が出てきました。

そうした活動のひとつが、「オーガニックコスメ」という本の出版となって出てきました。

<日本のオーガニックコスメの始まり>

2001年、日本でオーガニックコスメという言葉が登場した。
それは一冊の本がきっかけだった。

<本のメッセージ>
ムードではなく成分で化粧品を選ぼう!

日本のオーガニックコスメの普及は、
メーカーの仕掛けではなく、
環境NGOの活動から始まった。

オーガニックコスメという言葉は、世界で初めて日本から出てきた

日本ではもともと自然派コスメという言葉がありましたが、その後、2001年にオーガニックコスメという言葉が日本で初めて出てきました。

東京で「オーガニックコスメ」というタイトルの本が出版されたのです。この本のおかげで、「オーガニックコスメ」という言葉は、日本ではヨーロッパよりも早くその言葉が使われ始めました。

この本には、「化粧品はムードではなく、成分で買おう」というメッセージが込められていました。

この本を制作したのは、環境NGOアイシスガイアネットでした。

「オーガニックコスメ」という言葉は、この単行本のタイトルとして製作した環境NGOが造ったもので、それで誕生した造語です。2001年2月のことです。

それは今までになかったキーワードで安心安全なコスメを表現できる言葉として、環境NGOの編集チームが中心となって作り出した造語でした。

ですからこの2001年から、オーガニックコスメという言葉は、日本で初めて誕生し、そして歩き始めました。この本は、まさに日本でオーガニックコスメという考え方を普及していく上で大きな貢献をしました。

2001年は、化粧品にとって、重要なことがいろいろとあった年です。この年は、日本で化粧品の全成分表示が始まった年ですが、偶然にも、2001年は、ドイツで、世界で初めて「BDIH」がナチュラルコスメの基準を作り、実地した年です。

この「オーガニックコスメ」という本の中でも、「BDIH」がナチュラルコスメの基準についての記事が掲載されています。

そして「日本オーガニックコスメ協会」は、このオーガニックコスメという単行本を製作した環境NGOアイシスガイアネットを母体として、消費者の立場から、本当に安心できる化粧品情報を伝えるために新たに一般社団法人として設立されました。

日本オーガニックコスメ協会の活動

ここで「日本オーガニックコスメ協会」について、どんな活動をしているのかについて、簡単にご説明させていただきます。2007年に設立された「日本オーガニックコスメ協会」の活動は、世界のオーガニックコスメ認証団体、各オーガニックコスメ・メーカーを取材することから始まりました。協会の活動目的は次になります。

  1. 消費者の立場を優先して、安全なオーガニックコスメを普及する。
  2. 人と環境の美と健康を守る有機製品を普及する。

具体的活動としては次になります。日本の消費者に向けて、本当に安心安全と言えるオーガニックコスメを普及するために、本の発行、雑誌の記事掲載、セミナー、イベントの開催、オーガニックコスメ講座などの活動をしてきました。



日本オーガニックコスメ協会の活動



目的 消費者の立場を優先して、安全なオーガニックコスメを普及すること。具体的活動1 各国のオーガニックコスメの認証基準と現状を取材する。2 一般消費者に向けてオーガニックコスメ教育活動をする。3 出版、WEBによる情報提供。

オーガニックコスメ普及のための出版活動

「日本オーガニックコスメ協会」の消費者教育として最も重要なのは出版活動です。単行本「オーガニックコスメ」をシリーズ化し、2,3年おきに本を発行してきました。内容は、日本国内で購入できる安心安全な化粧品を紹介しています。

日本のオーガニックコスメ普及の歴史
オーガニックコスメシリーズ

日本オーガニックコスメ協会監修

   2001年~ 単行本シリーズによって、 オーガニック・自然派コスメの認知と信頼度が高まる。

もともと「オーガニックコスメ」シリーズは、安全な化粧品を消費者に知らせるという目的を持って、発行されたのですが、デパートや特色のある売り場作りをしているバイヤーさんに着目されるようになりました。そしてバイヤーさんたちは、この本に掲載された化粧品を集めて、オーガニックコスメコーナーを作り始めたのです。そして今ではこの本は、「バイヤーさんの化粧品バイブル本」とも言われるまでになっています。

つまり一冊の本が、売り場を作り出し、それによってオーガニックコスメが広がっていったのです。安心安全な化粧品という情報にこだわった一冊の本から、具体的な売り場が出来、それに刺激を受けたメーカーが新たなオーガニックコスメブランドを作るという循環が生まれました。

ちなみにこの本でも、ドイツでよく知られている自然化粧品ブランドのドクターハウシュカやロゴナ、ラヴェーラ、ヴェレダが紹介されています。

おそらくアジアの中では、日本の消費者は、もっともドイツの自然化粧品ブランドについて知っていますが、それはこの本のシリーズのおかげと言っていいでしょう。

この循環がたいへんうまくいったことから、日本では早くから、ドイツのオーガニックコスメが一般の消費者の間に浸透していきました。

そのように日本のオーガニックコスメは、化粧品販売の会社やマーケティング戦略の専門家がしかけたものではなく、安心安全な製品を知らせたいという環境NGO活動から始まり、それがひとりひとりの消費者の支持を集めるという、自発的な草の根運動という形で広がっていったのです。

オーガニックコスメ講座の開催

オーガニックコスメを普及していくには、化粧品の成分に詳しい消費者を増やしていくことが重要です。何故なら、そうすることによって、オーガニックコスメがこれまでの化粧品とどう違うのか、何故、安心安全なのかを知らせ、オーガニックコスメの価値を伝えることができるからです。

つまりオーガニックコスメの普及には、消費者教育というものが欠かせません。

そのため「日本オーガニックコスメ協会」は、日本各地でオーガニックコスメセミナーを開催し、消費者に合成成分と天然成分の見分け方などについて講義をしてきました。


オーガニックコスメと消費者教育 日本のオーガニックコスメの普及には、環境NGOによる消費者教育が貢献 ■教育の効果日本では、化粧品の全成分を確かめて購入する消費者が多い。■消費者の知識と安全性一人ひとりの消費者が知識を高めることで、安心安全なオーガニックコスメが継続的に支持される。

ちなみのこの写真は、茨城県の水戸市の高校生に、「日本オーガニックコスメ協会」の講師が教えている様子です。

また「日本オーガニックコスメ協会」は、消費者向けの通信講座である「オーガニックコスメ・アドバイザー講座」を開催しています。この講座には、日本全国のオーガニックコスメに関心がある人が受講しています。

日本の消費者は、オーガニックコスメは天然成分100%と考えている

さて日本では、消費者が、安心安全な化粧品を選ぶために、海外の認証マークを目安にしている人もいます。またいくつかの日本のメーカーも海外の認証を取得しています。日本でよく見かける化粧品の認証マークは、エコサートやアメリカのUSDAオーガニック、ときどきBDIHも見かけます。


日本の化粧品で取得されている
海外の認証マーク
 ●エコサート●USDAオーガニック●BDIH●コスモス

ヨーロッパのオーガニックコスメ基準の問題点

しかしヨーロッパのオーガニックコスメ基準ですが、一部の石油系の防腐剤が使われていることで、不信感を持っている日本の消費者もおり、そのことはブログでも記事になって出ています。

たとえばヨーロッパの認証マークがついているのに全成分をみると、「安息香酸ナトリウム」が入っているのは、何故ですかという質問が、日本オーガニックコスメ協会によく来ます。「安息香酸ナトリウム」は、石油原料の合成防腐剤です。

日本の消費者の考え方
オーガニックコスメは、天然100%を目指すべきである。 日本の消費者の疑問■ ヨーロッパのオーガニックコスメ認証がついていても、合成防腐剤(安息香酸Na)などを配合した製品もあるのは何故?結論■天然成分100%のオーガニックコスメが歓迎される。  安息香酸Na  ? 表示指定成分

「日本オーガニック協会」としては、それは一部の合成防腐剤が、その認証団体の基準で認められているからですよ」と説明するのですが、問い合わせてくる人は、容易に納得はしません。というのも、この「安息香酸ナトリウム」は、先に述べましたが、1980年代に日本政府が定めた、アレルギー性がある「102種類の表示指定成分」に入っているからです。

日本の消費者は、オーガニック・自然派コスメの認証マークを取得している化粧品は、石油成分は一切、使われていないというイメージを抱いているのです。またかなり化粧品の成分についても、知っている人が増えています。とくにオーガニックコスメを購入する人は、化粧品の成分についてよく勉強しています。

日本オーガニックコスメ協会のJOCA推奨品マーク

「日本オーガニックコスメ協会」は、消費者の声に応える形で、独自のオーガニックコスメ推奨品マークを作りました。

このオーガニックコスメ推奨品は、「日本オーガニックコスメ協会」が15年以上にわたって、単行本「オーガニックコスメ」シリーズを発行してきた経験と、世界の認証団体を取材してきた経験をもとにして、その基準を定め、それを普及するために推奨品マークを作りました。

消費者の立場からマークを作る
JOCA推奨品マーク <基準条件> ■天然成分100%。(防腐剤や乳化剤も天然成分であること)<推奨マークの目的> ●販売促進よりも、消費者の立場からの安全性を重視。

「日本オーガニックコスメ協会」の推奨品マークは、天然成分100%のオーガニックコスメを使いたい人のために作られました。

「日本オーガニックコスメ協会」の推奨品マークの基準は、一切の石油原料成分をすべて使用禁止にしています。

「日本オーガニックコスメ協会」の推奨品マークは、厳しい基準を定めることによって次のことを目標にしています。

  1. 消費者が、100%天然成分の化粧品を選びやすいようにすること。
  2. 安全なオーガニックコスメを製造するメーカーの指針になること。

本当に安心安全といえるオーガニックコスメの普及

オーガニックコスメを使う日本の消費者は、次の3点を考えながら、製品を選ぶ消費者も多いのです。

  • 素肌にとって安全性が高いのは天然成分。
  • 温暖化の原因となり、持続可能ではない石油原料は良くない
  • 合成成分は、自然界を汚染するので使いたくない。

オーガニック・自然派コスメと消費者意識 ■天然成分が素肌にとって安全性が高い。■温暖化の原因となり、持続可能でない石油原料は良くない。■合成成分は、自然界を汚染する。真のオーガニックコスメは、 人の健康と、地球環境を守る。

天然成分100%の自然派・オーガニックコスメが日本の消費者から歓迎される

日本のオーガニックコスメに関心がある層は、高い環境意識を持ち、また化粧品の成分について学ぶことも熱心です。

そのため石油合成成分が入り混じったコスメよりも、やはりしっかりと天然成分100%で作ったオーガニックコスメが歓迎されることが予想されます。

日本でドイツの製品を普及していくための広報として、製品の良さや安心安全性をアピールすることに加えて、その企業が、地球環境に配慮した取り組み、たとえば再生可能エネルギー推進、森林保護、動物愛護などをアピールすることも重要です。

環境を守る企業姿勢もまた、自然を愛する日本消費者にたいへん歓迎され、それが購入につながることになります。

真のオーガニックコスメの製品作りの姿勢は、実はこの21世紀において、化粧品の分野だけではなく、ほかの製品作りにおいても求められるものです。

産業革命以来、何かを生産し、販売していくことは、ともすれば環境保全とは相容れないものという考えがありました。

しかしオーガニックコスメの普及は、地球環境と共存する製品の普及という、新時代にふさわしい方針を示すことにもつながります。

そのような真のオーガニックコスメの普及は、環境を守る上でもたいへん大きな意味があることと日本オーガニックコスメ協会は考えています。

ぜひ国境を越えて、地球環境と人にとって安心安全なオーガニック製品を普及するという共通の目標を持って協力しあえるネットワークが、環境保全先進国であるドイツの皆様と日本の間にできればたいへん嬉しいことと、「日本オーガニックコスメ協会」は考えています。

ご清聴、ありがとうございました。

有機農産物を使ったオーガニックコスメで地域興し

2016年11月18日(金) 13:00~14:00
テーマ:「有機農産物を使ったオーガニックコスメで地域興し」

(及び「JOCA推奨品マーク」について)

講師 日本オーガニックコスメ協会代表 水上洋子

講演内容の詳細

「日本オーガニックコスメ協会」の水上です。

「日本オーガニックコスメ協会」の主な活動目的は、天然成分のオーガニックコスメを普及させることです。

現代の一般的な化粧品に合成成分が使われていることに疑問を抱いたことが、2007年に「日本オーガニックコスメ」協会を設立したきっかけになっています。

最近、「地域興し」として、有機農産物を菓子類、漬物、そのほかの加工食品にすることが行われています。そんな中、新たな「地域興し」として、化粧品も注目されています。

しかし、現状の「地域興し」化粧品の全成分を見てみると、「日本オーガニックコスメ協会」としてはたいへん気になることがあります。それは「地域興し」化粧品の全成分をよく見てみると、合成界面活性剤や合成防腐剤などがけっこうたくさん使われているということです。つまり一般的な化粧品と同じように、「地域興し」化粧品にもまた合成成分が多く使われており、残念に思っています。

化粧品の主な合成成分には、次のようなものがあります。

たとえば合成防腐剤というと、代表的なものパラベンやフェノキシエタノール、合成界面活性剤というと、ラウレスー9、イシステアリン酸ポリグリセリルー2、ラウリン酸PPG-150、ポリソルベート20、などですが、「地域興し」の化粧品も、こういった合成成分がたくさん入ったものが多いというのが現状です。

化粧品の合成防腐剤は、いわば、農薬のようなものです。合成防腐剤も合成界面活性剤のどちらも、主に石油を原料として作られる合成成分で、自然界にはないものです。

それでは、本来の有機農産物の安心安全という価値そして信頼が無くなってしまいかねません。

さらにもうひとつ、化粧品の合成成分としてよく使われる成分は、植物エキスを抽出する合成溶剤です。

たとえばひとことに化粧品成分として「みかんエキス」と言っても、それを作るために使われる溶剤はいろいろあります。

つまり有機みかんを何かの溶剤に漬け込んで、エキスを抽出するのですが、そのさい、どんな溶剤を使うのかということが問題です。溶剤は、水、アルコール、植物オイル、グリセリン、そして石油から作られたBGつまり1、3-ブチレングリコールなどがあります。

ちなみに海外のこだわりのオーガニックコスメ・メーカーでは、植物エキスの溶剤は、天然醸造したアルコールか植物オイルで抽出します。

いっぽう日本の化粧品原料会社で多く使われている溶剤がBGです。BGは石油由来原料から作られる成分で、抗菌作用もあるので、この溶剤を使って植物を抽出すると、腐らない植物エキスが作れるからです。比較的、肌には害がないと言われているBGですが、化学合成物質である以上は、敏感肌の方にとって刺激にならないとは言いきれません。

植物エキスの溶剤は、化粧品の全成分に表示しなくていいキャリーオーバー成分ですので、BGは、全成分の中に表示しなくてもいいものです。そのために消費者は、「みかんエキス」と書かれた成分を見て、天然成分の化粧品と思って購入します。しかし「みかんエキス」の中に、抽出溶剤として、BGなどの石油由来成分が隠れていることもよくあり、そうなると天然成分とは言い難くなります。

何故、多くの合成成分が「地域興し」化粧品にも使われてしまうのでしょうか?

たとえば有機農家の方が、うちのみかんを使って化粧品を作りたいと考えます。

そうすると、この生産者の方が、化粧品の製造会社さんに、有機みかんを持っていき、クリームや化粧水を作りたいというと、製造会社さんは、これまでの一般的な化粧品の製造マニュアルに従って、必ず「合成防腐剤や合成界面活性剤を入れましょう」ということになります。

「いやいや、合成成分なしで作りたい」と有機農家の方が言っても、「腐ったらどうするんですか」という調子で説得され、結果的に、有機みかんエキスに合成界面活性剤や合成防腐剤がたくさん配合された化粧品になってしまうわけです。

それはこれまでの一般的な化粧品の製造マニュアルが、合成界面活性剤、合成防腐剤、合成溶剤にたよることで、腐らないようにすることが当たり前になっているからです。

オーガニックコスメは、ただオーガニック植物のエキスを使うだけではなく、合成成分にたよるこれまでの化粧品製造を見直そうということから始まっています。

もし生産者の方が、「100%天然成分の化粧品をぜひ作りたい」ということでしたら、そういう技術を持っている製造会社さんを見つけて、そこで作ってもらう必要があります。

現在、日本ではそういうことができる製造会社は限られていますが、何社かあります。

天然成分100%で化粧品を作るのは難しいという声もよく聞きます。しかし、日本のオーガニックコスメ・メーカーの進歩は素晴らしく、スキンケアはもちろん、シャンプーからメイク用品まで、ほぼあらゆるアイテムの化粧品が、天然100%で作ることが、今では可能になっています。

オーガニックコスメというと、環境先進国ドイツやヨーロッパというイメージがありますが、じつは天然100%のオーガニックコスメを作るという点では、おそらく日本は、今、世界一の水準に達していることと思います。

「日本オーガニックコスメ協会」は、有機農産物を使って、天然成分100%のオーガニックコスメを作ることを支援してします。もし生産者の方や、「地域おこし」化粧品を作りたいというご希望があれば、100%天然成分で作るために、天然の防腐剤、天然の乳化剤に詳しい製造工場を選ぶなど、そのためのポイントについて教えます。

さて、こうして地域の有機農産物を使ったオーガニックコスメを作ったとき、広報はどうしていくのかということが重要になります。やはり化粧品は、広報なしでは、市場に定着して販売し続けることが難しくなります。

そのため「日本オーガニックコスメ協会」は、昨年、「JOCA推奨品マーク」を作りました。これは消費者にとって、本当に安心安全と言える、天然100%のオーガニックコスメをわかりやすくするという目的を持って作られました。メーカー側にとっては、この推奨品マークをつけることによって、その安全性を消費者に対してアピールすることができるものです。

また「日本オーガニックコスメ協会」は、出来上がったオーガニックコスメを普及するために、「JOCA推奨品マーク」をつけることによって、消費者に安心安全であることをアピールする支援活動も行っています。

ただ今、JOCA推奨品マークを取得しているメーカーは、27社になります。

これらの推奨品取得製品については、この 「オーガニックライフスタイルEXPO」の会場で、JOCA推奨品マークのブースで展示していますので、ぜひお寄りになって、御覧になってください。「日本オーガニックコスメ協会」は、本当に安心安全と言えるオーガニックコスメを応援することによって、もっと日本に有機栽培の土地が増え、環境保全にも貢献できればと願っています。

有機農産物を使って、天然成分100%のオーガニックコスメを作ってみたいという生産者の方、地域興しとしてやってみたいという方は、日本オーガニックコスメ協会にお問い合わせください。「日本オーガニックコスメ協会」は、100%天然成分のコスメ製造方法をアドバイスし、出来上がった製品を普及するために支援しています。

ありがとうございました。

本当に価値あるオーガニックコスメとは?

2016年11月19日(土)14:00~14:45
テーマ:本当に価値あるオーガニックコスメとは?

グリーンケミストリーによる化粧品新成分は安全か?

講師 日本オーガニックコスメ協会代表 水上洋子

講演内容の詳細

はじめに

日本オーガニックコスメ協会の水上です。

お集まりいただき、ありがとうございます。

日本オーガニックコスメ協会は、消費者の立場から安心安全な化粧品を普及しようという目的を持って活動している協会です。

二つの内容

今日は、「本当に価値あるオーガニックコスメとは?」というテーマでお話しさせていただきます。

具体的な内容としましては、次の二つになります。

ひとつは、最近は、オーガニックコスメが伸びていますが、合成成分が混じったものも多いのが現状です。素肌の健康を根本から取り戻すために、天然成分100%のオーガニックコスメを選ぶポイントについて話します。これにちなんで、「グリーンケミカル」という「環境にやさしい化学」について触れたいと思います。

もうひとつは、「日本オーガニックコスメ協会」は、オーガニックコスメは、「天然成分100%であるべき」という考えのもとに、「JOCA推奨品マーク」を作りました。そのことによって、消費者が天然100%のコスメを選びやすい環境を提供したいと考えています。

肌トラブルと合成成分

今、乾燥肌をはじめ、いろいろな素肌トラブルの悩みを持つ女性が本当に増えています。

その大きな原因となっているのが、実はきれいになるためであるはずの化粧品の合成成分です。

一般的な市場に出ているほぼ90%の化粧品には、石油から作られた合成成分が使われています。こうした石油合成成分を主体とした化粧品が一般的に普及してから約70年がたとうとしていますが、昔以上に肌トラブルに悩む女性が増えています。

しかしここにきて、多くの女性たちも、やはりナチュラルな化粧品のほうが肌にとって安全なのではと感じ始めています。私たちの体や肌は、自然のものでできているのですから当然のことです。

これは世界的な傾向で、よりナチュラルな化粧品を求めて、世界的にオーガニックコスメを購入する人たちが増加しています。日本でも、ヨーロッパでもナチュラル、あるいはオーガニックをうたう化粧品の売り上げが年々、伸びています。

あいまいなオーガニックコスメ

しかし現在、オーガニックコスメをうたっていても、石油由来の合成成分が使われている製品も多く出ています。とくにオーガニックコスメであるための規制はないので、たとえ合成成分をかなり使っていても、オーガニックコスメをうたって販売することができます。

オーガニックコスメの基準

じゃあ、オーガニックコスメの規制を作ればいいじゃないかという声も多いのですが、一概にそれで問題が解決するとは限りません。

というのもその規制が緩いものになってしまうと、曖昧なオーガニックコスメが当たり前になってしまうからです。
実は、EUのコスメ認証マークがついたオーガニックコスメも、必ずしも合成成分ゼロではなく、合成防腐剤などが配合されていることもあります。

それは、その認証団体のコスメ基準において、一部の石油合成成分の使用が認められているからです。

オーガニック認証コスメであっても、意外にも、合成防腐剤、合成界面活性剤、そして合成溶剤などが使われたものもけっこうあります。

全成分

オーガニックコスメとパンフレットにあったから、あるいは認証マークがついていたから安心と思い込んで購入して使っていると、実は、それに合成成分が使われており、肌トラブルの原因になったりします。なお化粧品の主な合成成分には、このようなものがあります。

「オーガニックコスメを使いたい」ということでしたら、ぜひ天然成分100%、つまり本当に価値あるオーガニックコスメを選んでください。

そのためにパンフレットの言葉をたよりにしないで、全成分をしっかりと見ることです。「わからない成分があるけどいいわ」、では本当に価値あるオーオーガニックコスメを選ぶことはできません。

そこで、これから、天然成分100%のオーガニックコスメを選ぶために、全成分を見るとき、いくつかのポイントについて話していきます。

防腐剤

化粧品を作るときに、必ず必要なものが、防腐剤です。

一般的な化粧品で、もっともよく使われている防腐剤がパラベン、あるいははフェノキシエタノールが使われています。この二つは石油合成成分で、アレルギー性があると言われています。

いっぽうヨーロッパの認証オーガニックコスメでよく使われている防腐剤として、「安息香酸ナトリウム」があります。「安息香酸ナトリウム」も石油合成成分です。「安息香酸ナトリウム」は、みなさん、ご存知でしょうか? 昔、日本の厚生省が定めました「102種類の旧表示指定成分」のリストに入っている成分で、したがってアレルギー性があります。

「ヨーロッパのオーガニックコスメ認証は、すごく厳しいから、合成成分は一切使用が認められていない」と思っている方が多いのですが、現状は違います。

現在のところ、ヨーロッパのオーガニックコスメ認証においては、いくつかの石油合成成分を使用することが認められています。

このことについて、より詳しい情報としましては、お手元に配布しました「オーガニック生活便」14号の7ページをご覧ください。ここには、オーガニックコスメ認証において、使用が許可されている合成防腐剤の一覧が出ています。(表-1)

防腐剤 植物由来のプロパンジオール

もうひとつ、ヨーロッパの認証オーガニックコスメで、よく見かける成分が、「プロパンジオール」です。これは、以前は石油から合成していた成分ですが、新たに植物から合成した新成分です。プロパンジオールは、防腐剤として使われています。

植物が原料というと、「それは安全なもの」と思われがちですが、そうとは限りません。それは、植物からも、自然界にない合成成分を作ることは可能だからです。

グリーンケミストリー

ここで、「グリーンケミストリー」について触れたいと思います。

「グリーンケミカル」とは「環境に優しい合成化学」とも言われ,物質を設計し,合成し応用するときに有害物質をなるべく使わない,出さない化学を意味します。

一見、たいへん今の時代に合った考え方です。

その「グリーンケミトリー」の考えは、ヨーロッパのオーガニックコスメ原料関係では、すでによく活用されています。

それは、これまで石油から合成してきた成分を、植物から合成するということに活用されています。

一般的な消費者は、「植物が原料だったら、それは天然成分でしょう」と考える傾向があります。少しややこしいのですが、植物を何らかの溶剤に漬け込んで植物エキスを作る場合は、たしかに天然の化粧品成分と言えますが、いっぽうで化学的操作によって、植物から自然界に存在しない合成成分を作ることもできます。植物に含まれるさまざまな成分を壊すことない場合は、天然成分となりますが、植物に含まれるさまざまな成分の分子式をバラバラに化学的操作(高温。高圧、触媒)によって分解し、再合成したものは、合成成分になります。

たしかに「グリーンケミストリー」において持続可能な原料とは言い難い石油を止めて、持続可能な植物原料を使うという点では、今の時代の要請にあっていると思います。

しかしここで消費者の立場からぜひ注意してほしいことがあります。それははたして植物から作った合成成分は、安全なのかということです。何故なら、それはまだ長期的に検証されていないという問題があります。

石油から作ったある合成成分が自然界に循環できないものであれば、たとえそれを植物から合成したとしても、自然界では循環できないものになります。

そうした成分は、当然のことながら、素肌の負担となる可能性があり、環境汚染の原因ともなります。

先にあげた防腐剤のプロパンジオールも、そう「グリーンケミストリー」の新成分として登場しました。しかし「日本オーガニックコスメ協会」は、植物由来であっても、プロパンジオールは、長期に使うと、どのような問題が出てくるかはまだわからないため、使用しないほうがいい成分の中に入れています。

そのほか「グリーンケミストリー」という考えのもとに登場した化粧品の新成分としては、乳化安定剤のセテアリルアルコールなどもあります。セテアリルアルコールも、以前は石油から合成されていたものを植物から合成もできるようになったわけです。

しかし石油由来であっても、植物由来であっても、出来上がった合成成分は、その性質に違いがあるわけではありません。石油からであろうと、植物からであろうと、出来上がったセテアリルアルコールに違いはありません。ちなみにセテアリルアルコールも、アレルギー性があるとされた「旧表示指定成分」です。

化粧品の新成分については、直接、肌につけるものなので、オーガニックフード同様、長期使用による結果がわからない成分については、慎重に対処すべきだというのが、協会の考え方です。

溶剤

さて、もうひとつ、オーガニックコスメを選ぶときに気をつけてほしいのが、植物エキスの溶剤です。

たとえばひとことに化粧品成分の「ラベンダーエキス」と言っても、それを作るために使われる溶剤はいろいろあります。

つまりラベンダーを何かの溶剤に漬け込んで、エキスを抽出するのですが、そのさい、どんな溶剤を使うのかということが問題です。

溶剤は、水、アルコール、植物オイル、グリセリン、そして石油から作られたBGつまり1.3-ブチレングリコールなどがあります。

ちなみに海外のこだわりのオーガニックコスメ・メーカーでは、植物エキスの溶剤は、さとうきびなど穀物由来のアルコールなどを使うところが多いようです。

いっぽう日本の化粧品原料会社で多く使われている溶剤がBGです。

BGは石油由来原料から作られる成分ですが、抗菌作用もあるので、この溶剤を使って植物を抽出すると、腐らない植物エキスが作れるからです。

比較的、肌には害がないと言われているBGですが、化学合成物質である以上は、敏感肌の方にとって刺激にならないとは言いきれません。

このBGについても、最近、先にお話ししました「グリーンケミカル」の考えのもとに、植物から合成されたものも出てきています。

現在、ヨーロッパのコスメ認証では、植物由来のBGは、使用可能になっています。

先ほどもお話ししましたが、石油由来であっても、植物由来であっても、出来上がった合成成分は、同じものです。植物由来の合成溶剤BGにつきましても、「日本オーガニックコスメ協会」としては、「使わないほうがいい」成分としています。

使用する消費者の立場からすると、オーガニックコスメは、オーガニックフード同様の安全性を原料に求めることは当然のことと、日本オーガニックコスメ協会は考えています。

天然100%コスメを選びたい

さて今日はこれまで、次のようなことをお話ししました。

  • 天然100%のオーガニックコスメを使いたいのなら、
    パンフレットの言葉は信用しないで、全成分をしっかりと見てください、ということ。
  • ヨーロッパのコスメ認証マークがついている化粧品でも、合成成分が入っていることがある、ということ。

しかし現実的に言うと、普通の消費者の方々が、化粧品の全成分を見て、それが何からできているのか、またそれは肌にとって害があるのかどうかを判断するのは、非常に難しいです。

「じゃあ、天然100%の化粧品は使いたいけれど、どうしたらいいの?」

そう思う方が圧倒的に多いことと思います。

オーガニックコスメ基準

そこで「日本オーガニックコスメ協会」は、一般の消費者の方であっても、天然100%の化粧品を選べるようにするために、「推奨品マーク」というものを作りました。

「推奨品マーク」がつけられる製品の条件は、100%天然成分のオーガニックコスメであるということです。

ところで天然成分100%で化粧品を作るのは難しいという声もよく聞きます。

私もいくどか、オーガニックコスメの国際会議に参加しました。そのたび、「オーガニックコスメは、天然成分100%であるべきで、合成成分を使うのはおかしいのではないか」という発言をしてきました。

私のそんな発言に対して、EUの認証団体の方は、こんな答えを返してきました。「現在のところ、合成防腐剤を全く使わないコスメを作るのは難しい。それに代わるものがあるまで仕方がない」と。

しかし今、日本のオーガニックコスメ・メーカーの進歩は素晴らしく、スキンケアはもちろん、シャンプーからメイク用品まで、ほぼあらゆるアイテムの化粧品が、天然100%で製造することが可能になっています。

オーガニックコスメというと、環境先進国ドイツやヨーロッパというイメージがありますが、じつは天然100%のオーガニックコスメを製造するという点では、おそらく日本のメーカーは、今、世界一の水準に達していることと思います。

天然100%でなければ植物は力を発揮できない

オーガニックコスメの価値は、植物の力で発揮させることによって、素肌の美と健康を守ることです。たとえばオーガニックコスメの原料として、薔薇があります。薔薇はたいへん不思議な働きをする植物で、乾燥肌に対しては、皮脂分泌を促し、オイリー肌に対しては、皮脂分泌を抑えるという双方の働きをします。あたかも薔薇の成分には、何か意思でもあるかのように、その人の肌に合せた働きをするわけです。そういうことは、合成成分では決してできません。また日本で昔から使われてきたヘチマ水は、防腐剤を加えることなく、そのままで20年間以上も腐ることはありません。それほどヘチマ水は、抗酸化力が高く、その抗酸化力が肌に対しては素晴らしい老化防止効果を発揮するわけです。昔の日本の女性は、ヘチマ水の素晴らしい美容効果を知っており、ヘチマ水を「美人水」とも呼んで愛用していました。

しかしそのような薔薇の力、ヘチマの力、つまり植物本来お力は、そばに合成成分があっては、その力を発揮することができません。合成成分が入り混じったオーガニックコスメでは、本来の価値を発揮できないのです。だからこそ、オーガニックコスメの基準は、天然成分100%で作れる技術を持つ日本がリードすべきと協会は考えています。

それはビジネス的な意味での世界一を目指すという意味ではありません。そうではなく、消費者が本当に安心安全なオーガニックコスメを普及すること、そして素晴らしい力を秘めた植物の力を知ってもらうためです。

そのような理由から、日本オーガニックコスメ協会は、オーガニックコスメ基準は、天然成分100%を目指すべきと考えています。

JOCA推奨品マーク

ただ今、JOCA推奨品マークを取得しているのは、国産メーカー27社になります。

日本オーガニックコスメ協会は、これらのメーカーさんに対して、「認証してあげる」という上から目線の立場ではなく、一緒に「天然100%のオーガニックコスメ基準を広げよう!」という志を持った仲間、あるいは同志と位置付けています。

これらの推奨品マークを取得した製品は、すべて天然成分100%で作られています。製品は、スキンケア、メイク、ヘアケアとあらゆるアイテムがあります。

そのことからもわかるように、実際に、あえて合成成分にたよらずに、天然成分100%で化粧品を作ることは可能だということがわかることと思います。

推奨品マークを取得した製品については、この「オーガニックライフスタイルEXPO」の会場、Eの63ブースで、いっせい展示していますので、ぜひお寄りになって、御覧になってください。テスターも揃えていますので、お試しになることもできます。

本当に価値あるオーガニックコスメとは?

本当に価値あるオーガニックコスメとは、天然100%、つまり自然界の中で循環しないものを使わないということになるかと思います。それが自分の素肌の健康を守ることになり、環境を守ることにもなるわけですから。

「日本オーガニックコスメ協会」は、メーカーさんに対して、天然100%のオーガニックコスメを作るためのアドバイスもしています。

これまで、私たちの日用品は、ただ便利とか見た目がよいと言った価値観で作られてきました。しかしそうした製品作りは、今、見直すべきときに来ています。

オーガニックライフが求める製品作り

私は、よく最近の気候変動は、私たちが使っている化粧品と関係していますよ、というような話をします。そうすると、「えっ」と、びっくりされる方も多いのですが、本当の話です。

化粧品に使われている石油原料ですが、これは使えば使うほど、温暖化をさらに促進してしまうからです。

石油合成成分は、化粧品だけではなく、今、私たちの日用品の多くのものの原料になっています。それは、自然界で循環できないものなので、環境を汚染し、温暖化を促進します。

今、起きている気候変動も、私たちが使ってきたものと深く関わっています。つまり私たちのライフスタイルと関わっています。

これからの製品作りには、便利である、見た目がいいということに加えて、その作られた製品が、自然の中で循環できるものなのかどうか、環境を汚染しないのかということをしっかりと見きわめることが求められています。

オーガニックコスメだけではなく、私たちが使うものは、自然界を循環できる原料によって作られるべきであり、一人ひとりの方が、そうした価値ある製品を選ぶことが、地球環境と共生するための方法です。

本当に価値あるオーガニックコスメを使うことのすばらしさは、素肌の健康を守ることに加えて、「私と地球はひとつに繋がっている」ことを、ただのきれいな言葉ではなく、日々、体験できるようになることです。

最後に、この展示会のテーマであるオーガニックライフとは、今の時代を健康にそして幸せに生きるための知恵であり、地球環境と調和して生きるためのマナーだと私は考えています。

ご清聴、ありがとうございました。

グリーンケミストリー(環境にやさしい化学)から作られた新合成成分

グリーンケミストリー(環境にやさしい化学)から
作られた新合成成分

植物原料の合成成分(プロパンジオール、セテアリルアルコール、BG(1,3-ブチレングリコール)は安全か?

環境汚染の反省から出てきたグリーンケミストリー

近頃、グリーンケミストリー((Green Chemistry、環境にやさしい化学)という言葉を聞くようになりました。グリーンケミストリーという考えの始まりは、アメリカの環境省(EPA)です。

1990年、アメリカで、環境汚染を防ぐことを目的とした「連邦汚染防止法(Pollution Prevention Act)」が制定されました。

グリーンケミストリーという考えは、こうした背景から出てきたもので、できるかぎり有害物質を使用・排出しないように物質を選択し、反応式を設計し、有用な化学製品を作ろうというものです。

グリーンケミストリーという考え方には、自然界で循環しない有害な化学物質を大量生産し、それによって、地球環境が深刻な影響を受けた現代の問題を踏まえており、21世紀の化学を推進していく上では、たいへん重要な提唱をしているものと言えましょう。

グリーンケミストリーという考えについては、ヨーロッパのオーガニックコスメの認証団体も支援しています。しかし気になることは、植物原料さえ使用していれば、それはグリーンケミストリーに沿うものだという安易な姿勢に陥る傾向です。

石油から植物へ変わった合成成分

2012年あたりから、従来、石油原料で作られてきた合成の化粧品成分が、植物でも作られるようになり、それらが次々と、「認証対応原料」として登録されていっています。

具体的な事例をあげると、もともと石油から合成されていたプロパンジオール、セテアリルアルコール、BG(1,3-ブチレングリコール)などの化粧品成分などが植物からも合成されるようになっています。これらの植物由来の合成成分は、現在、有機認証団体「エコサート」及び「コスモス」の認証対応原料となり、オーガニックコスメ認証のさいに使うことができます。

留意されるべきは、セテアリルアルコールやプロパンジオールは、旧厚生省が指定した「102種類の表示指定成分」であり、アレルギー性があるという理由で、表示が義務づけられていた成分です。

これらの成分の構造式と性質は、植物原料から作られようとも石油原料から作られようとも、基本的には変わらず、出来上がったものの肌に対する有害性も差がないということです。

様々な視点から検証されるグリーンケミストリー

1998年には、オックスフォード大学のパウル・アナスタスとジョーン・ワーナーが、著書「グリーンケミストリーの理論と実践(Green Chemistry: Theory and Practice)」を出版し、その中でグリーンケミストリーの概念を12原則(Twelve Principles of Green Chemistry)にまとめています。

  1. Prevention:廃棄物はできる限り排出しない。
  2. Atom Economy:原料をなるべく無駄にしないかたちで合成方法を企画する。
  3. Less Hazardous Chemical Syntheses:人体と環境にできる限り害のない化学合成をする。
  4. Designing Safer Chemicals:毒性のなるべく少ない化学製品をつくる。
  5. Safer Solvents and Auxiliaries:有害な溶剤、補助剤はできる限り使用しない。
  6. Design for Energy Efficiency:化学工程のエネルギー使用量を最小にする。
  7. Use of Renewable Feedstocks:原料はできる限り再生可能資源とする。
  8. Reduce Derivatives:不要な誘導体化はできる限り避ける。
  9. Catalysis:触媒反応をできる限り採用する。
  10. Design for Degradation:環境中で無害物に分解しやすい製品にする。
  11. Real-time analysis for Pollution Prevention:危険物質の構成の前にリアルタイムで、製造過程のモニターとコントロールする。
  12. Inherently Safer Chemistry for Accident Prevention:化学事故の可能性を最小にする物質と構成にする。
植物由来の合成成分は本当に安全なのか?

この「グリーンケミストリーの12原則」と照らし合わせてみると、先に述べた植物由来の合成成分は、7番目の「原料はできる限り再生可能資源とする」という項目はたしかに満たしています。石油は、限りある資源であり、植物は再生可能な資源です。

しかし、3番目の、「人体と環境にできるかぎり害のない化学合成をする」と、4番目の「毒性のなるべく少ない化学製品を作る」なの項目を満たしているとは、言い切れないものです。
化粧品の成分に使うものであれば、何より、「毒性がない」ということを優先すべき条件になります。

従来、新たな化粧品成分として認められるには、動物実験によりその有害性について厳しく検証することが必須条件でした。しかしEUで化粧品成分については動物実験禁止となり、動物実験をした化粧品製品は、輸入が認められなくなりました。日本では動物実験は、禁止といかないまでも必須条件ではなくなりました。

動物実験の禁止は評価すべきことですが、化粧品の新成分の安全性の確認方法が不確かになり、安全性を確認する厳しさがゆるやかになっているという現状があります。その結果、新成分を配合した化粧品を実際に使った消費者自身が安全性テストをしているといっても過言ではない現状があります。

さらに植物由来の合成成分が、10番目の「環境中で無害物に分解しやすい製品にする」という項目もクリアしているのかどうかも確認されていません。

つまり植物から作られた合成成分であっても、私たちの体内という小宇宙及び自然界において循環できないものになる可能性は否定できないのです。

植物由来の合成成分も循環システムを壊す可能性がある

厳しい視点からみると、グリーンケミストリーの名のもと、ただ原料を石油から植物に変えただけの化粧品合成成分が、人体への安全性と環境への配慮をなおざりにしたまま「使用可」とされてしまいかねない状況があります。
化粧品の安全性を求める消費者が持つべきことは、たとえ植物原料であっても、自然界にない、有害性のある合成成分を作ることができるという認識です。

「日本オーガニックコスメ協会」としては、従来は石油で作られていた「プロパンジオール」、「セテアリルアルコール」、「BG」などが、植物原料に変わったとしても、それらは、オーガニックコスメ認証基準では、「使用不可」にすべきだと考えています。そうする理由には、「疑わしきものは使用せず」という予防原則が含まれています。

グリーンケミストリーという考えをさらに発展させるために

自然界は、もともと完全とも言えるほどの循環システムを確立していました。それはあまりにも完璧だったので、長い間、ほとんどの人々はそうしたシステムがあることに気づかないほどでした。しかし近年になって急速に進んだ化学が様々な合成成分を作り出し、それらの成分は人工的な実験室という場を抜け出し、広々とした自然界全般に存在するようになりました。

気が付くと、それらの人工的な合成成分によって、じょじょに自然の循環システムがほころび始め、大気、水、大地に汚染が広がり、そして現在は深刻なまでの環境破壊となって現れています。
グリーンケミストリーは、何よりもまず、もともとあった自然の循環システムに敬意を払うことが求められます。それを傷つけることがないよう、様々な観点から総合的に検証してこそ、21世紀にふさわしい化学」として、真の意味で有益なものとなっていくことでしょう。

(文・水上洋子)