消費者の信頼を得るには、天然成分100%のオーガニックコスメ製造が必要
国境を超えて普及するオーガニックコスメ
2000年代に登場したオーガニックコスメは、国境を越えて、今も世界中の女性たちに支持され続けています。
もともとオーガニックコスメは、ファッションや一時的な流行とは異なる流れの中にありました。
その流れは、遠く遥かな時代から育まれてきた植物療法を活用したスキンケアから始まり、長いときを超えて世代から世代へと伝えられてきました。現代に入ると、いったんはその流れは消えたかに見えましたが、ふたたび私たちの世界に浮かび上がってきました。
そのきっかけは、女性たちが現代の化粧品に、自然界にはない合成成分が多用されていることに不安を抱いたことでした。つまり女性たちは、あるシンプルなことを思い出したのです。
私たち自身が自然なもので作られているのだから、 自然なものこそが一番良いはず――
オーガニックコスメには、人工的な合成成分ではなく、自然なものから作られる化粧品こそが、やはり安心安全であり、 素肌の生命力を守るという考えが根底にあります。
そんなオーガニックコスメの考え方は、コスメに限らず、ほかの分野にも影響を与えるものです。 現代生活があまりに自然から遠ざかり、健康への弊害や環境破壊が顕著になってくるにつれ、ある思いが私たちの心奥で鮮明になってきています。
もし私たちが美しく健康に生きたいのなら、もう一度、自然に敬意を払い、自然とつながらなければいけないのではーー
オーガニックコスメが支持され続けている理由は、 今の時代が求めるそんなメッセージがあるからではないでしょうか?
オーガニックコスメの普及は、近年、ますます高まってきている自然保護運動の波とそのまま重なっています。
日本のオーガニックコスメ普及の現状
コロナ禍の影響によって、2020年には、日本の化粧品市場は、とくにメイク用品の需要の減少などによっていくぶん落ち込みましたが、2021年には早くも以前の売り上げを回復しています。
現在の日本のオーガニックコスメの普及率については、どのような水準のオーガニックコスメによるかでかなりその数字は変わってきます。というのもオーガニックコスメと称していても、防腐剤や乳化剤は合成成分がかなり多く、ほんの少しだけ有機栽培植物を使っているという製品がとても多いからです。
2021年の日本の化粧品全体の売り上げ2兆8000億万円。そのうちの、とりあえず有機栽培の植物原料を使用してオーガニックコスメと称している製品について言えば、約5%ほどの売り上げ(約1400億円)を占めているのでないかと思います。
しかし完全に合成成分フリー、天然成分100%のオーガニックコスメとなるとさらに希少になり、0.1%になることと思います。
日本は、オーガニックコスメ先進国
もともと日本は、モノ作りにおいては、品質の良さにおいて定評がある国柄です。そして今、世界の女性たちが支持しているオーガニックコスメの分野においても、実は日本は最先端にいます。一般的にはオーガニックコスメと言うと、ヨーロッパというイメージがあるために、意外と思うかもしれませんが、それは次のような理由からです。
世界の現状では、たとえオーガニックコスメ認証マークがついていても、いくつかの合成成分が使われていることもよくありますが、すでに日本では、天然成分100%のオーガニックコスメがかなり出ているからです。
たしかに日本の市場でもオーガニックコスメと称していても合成成分が入り混じったものが圧倒的に多いのですが、それでも日本には合成成分を一切使わずに、完全に天然成分だけで作られたオーガニックコスメがかなり市場に出ています。その数は、おそらく環境先進国というイメージがあるドイツ以上に多いことと思います。
何故、そのように日本では、天然成分100%のオーガニックコスメが多いのかということについては、後ほど詳しくお話しいたしますが、そのような状況があることから、オーガニックコスメ製造という点では、日本は今、世界でも最先端にいると言っていいでしょう。
日本は、世界に先駆けて、早くも2001年頃からオーガニックコスメが注目されるようになっています。
さて、ここから、「何故、日本でいち早くオーガニックコスメが普及したのか?」についてお話し致します。
オーガニックコスメという言葉は、日本から始まった
初めて日本で「オーガニックコスメ」という言葉が公の場に出てきたのは、2001年のことです。そのきっかけは、東京で「オーガニックコスメ」というタイトルの本が出版されたことからでした。
この本を制作したのは化粧品メーカーではなく、環境NGO「アイシスガイアネット(主催者/清水童伸)」でした。
つまり「オーガニックコスメ」という言葉は、日本の環境NGOが、安心安全なコスメを普及するための新しいキーワードとして考案したものでした。
この本が発行されたのは2001年の2月で、それ以来、オーガニックコスメという言葉が日本で歩き始めたわけです。
特筆すべきことは、オーガニックコスメという言葉が日本で現われた2001年、ヨーロッパでもまだその言葉は登場してなく、ただナチュラルコスメという言葉だけがありました。ちなみにヨーロッパでは同じ2001年の
秋に、ナチュラルコスメの基準がドイツで初めて作られたばかりでした。
そのように、実は「オーガニックコスメ」という言葉自体は、まず日本から発信されたのです。
本のシリーズが、日本のオーガニックコスメ市場を作った
2001年に発行された単行本「オーガニックコスメ」は、日本で「オーガニックコスメ」という考え方が消費者に認知されていく上で大きな貢献をしました。
この本には、消費者に向けて、「化粧品はムードではなく、成分で買おう」という、メッセージが込められていました。
そこには、現代の化粧品に石油由来の合成成分が多用されるようになってから、肌トラブルが急増したことを踏まえ、食品と同じように化粧品もナチュラルな原料が良いという考えがありました。
単行本「オーガニックコスメ」は、発行されてまもなく、日本各地の大型店舗のバイヤーたちに着目されるようになりました。そしてバイヤーたちは、この本に掲載された化粧品を集めて、日本初のオーガニックコスメコーナーを作り始めたのです。
2001年以降に、単行本「オーガニックコスメ」はシリーズ化され、2、3年おきに続本が出版されるようになりました。
やがて単行本「オーガニックコスメ」シリーズは、「バイヤーのオーガニックコスメのバイブル本」とも言われるまでになったのです。さらにこの本に刺激を受けて、安心安全にこだわったコスメブランドを立ち上げる人や会社も次々と登場しました。
つまり安心安全な化粧品情報について環境NGOが出した一冊の本とそのシリーズが、日本全国に売り場を作り出し、それに刺激を受けた会社や人が新たなオーガニックコスメブランドを作るというように、日本でオーガニックコスメが普及していく上で望ましい循環を作り出したのです。
この循環がたいへんうまくいったことから、日本では世界でもいち早く、オーガニックコスメが一般の消費者の間に、一時的なブームに終わることなく、継続的に浸透していったのです。
そのように、日本でのオーガニックコスメの最初の発信とそして普及は、化粧品販売の会社やマーケティング戦略の専門家によって仕掛けられたものではなく、安心安全な製品を知らせたいという環境NGO活動から始まったものでした。その活動がひとりひとりの消費者の支持を得て、継続的に広がっていったのです。
安心安全な製品を伝える
「日本オーガニックコスメ協会」の設立
その後、2007年、この「オーガニックコスメ」という単行本を制作した環境NGO「アイシスガイアネット」を母体として、「日本オーガニックコスメ協会」が設立されました。
現在、「日本オーガニックコスメ協会」は、国内外のオーガニックコスメ化粧品情報を伝える活動をする一般社団法人として登録されています。
「日本オーガニックコスメ協会」の主な活動目的は、まずは消費者の立場を尊重して、本当に安心安全なオーガニックコスメとその情報を正確に知らせていくことにあります。そのために、世界の認証団体を現地に赴いて取材したり、オーガニックコスメの国際会議に参加したり、出版やイベント活動を続けてきました。
さて、次に「何故、日本オーガニックコスメ協会が独自でオーガニックコスメ基準を作ったのか」についてお話し致します。
未だオーガニックコスメの世界統一基準はない
現在、オーガニックフード(農産物、加工食品)については、「世界統一的」な認証基準のベースがあり、それは「IFOAM(国際有機農業運動連盟)」によって1981年に作られたものです。
いっぽうオーガニックコスメについては、「世界統一的」な認証基準のベースとなるものはなく、「USDAオーガニック」や「コスモス」、「ネイトゥルー」、「デメター」など、各国のいろいろな認証団体によって異なる基準が並列している今も状況が続いています。
日本では、「ヨーロッパの認証マークがついていれば、その製品は、天然成分100%で作られている」と思いこんでいる人が多いのですが、それは誤った認識です。それは韓国でも同様かもしれませんね。
しかし粧品にオーガニックコスメ認証マークがついていても、必ずしもその製品が完全に天然成分で作られているわけではありません。その認証基準の内容によっては、いくつかの合成成分の使用が認められていることもあるからです。
消費者が安心安全な化粧品を求めるとき、認証マークは目安にはなりますが、その認証基準がいったいどのような内容なのかをしっかりと把握する必要があるわけです。
コスメ認証基準の違いは、
石油系合成成分の「使用可」か「使用不可」
さて各認証団体のコスメ認証基準の違いにおいて、もっとも重要なポイントとなるものは何かというと、それは石油系合成成分の使用についてどこまで「認めるか、認めないか」です。
現在、世界の様々な認証団体の基準を比較してみると、石油系合成成分の一部を認める基準を掲げている団体と、一切、石油系合成成分を認めていない基準を定めている団体があります。
石油系合成成分の一部の使用を認めている認証基準としては、「コスモス」、「ネイトゥルー」などがあります。それらのヨーロッパのコスメ認証基準では、14種類ほどの石油原料を使った合成成分(合成防腐剤。合成界面活性剤など)の使用が認められています。
それらの基準で認められている石油原料の合成防腐剤として、たとえば「安息香酸Na」や「ソルビン酸K」などがあります。しかし「安息香酸Na」や「ソルビン酸K」は、日本では、国が定めた「102種類の表示指定成分」に該当し、アレルギー性があることが懸念される合成成分です。
注 「102種類の表示指定成分」とは?
1980年にはまだ日本では化粧品の全成分表示が義務ではなかったのですが、あまりに数多くの化粧品被害が寄せられたために、国はアレルギー性がある化粧品成分についてリスト化し表示するように義務付けました。その化粧品成分のリストが、「102種類の表示指定成分」と呼ばれているものです。
いっぽう石油系合成成分の使用を一切認めない、より厳しいコスメ認証基準を定めているのは、アメリカの「USDAオーガニック」、ドイツの「デメター」などです。そして「日本オーガニックコスメ協会」の「JOCAマーク」もまた石油系合成成分の使用を一切認めないコスメ認証基準を定めています。
日本の消費者の声に応えて、
天然成分100%のオーガニックコスメ製造が進む
コスメの認証基準は、今後、オーガニックコスメの製造方法にも大きな影響を与えるものです。もし合成防腐剤や合成界面活性剤の使用を認める基準のみが普及すると、オーガニック植物エキスが配合されているけれども、防腐や乳化は、合成成分に頼る製造方法が当たり前になってしまいます。
消費者の立場から考えると、やはり望まれるのは、合成成分を一切、使っていないオーガニックコスメです。
先にも述べましたが、日本の消費者は、「オーガニックコスメにはまったく合成成分が使われてなく、100%天然成分で作られている」と考える人が多いのです。
日本では数年前から、そんな消費者の声に応えようと、いくつかの進歩的な製造会社が動き出し、天然成分のみのオーガニックコスメ製造に取り組んでいます。それらの製造会社は、天然成分の防腐剤や界面活性剤の研究を重ね、完全に天然成分100%の化粧品を作ることに成功しています。
従来から日本の各分野の製造会社は、一旦、目標が定まると、そのために必要な技術を素早く完成させることで高く評価されてきました。素晴らしいことにその特性は、今、オーガニックコスメの分野でも発揮されています。
その結果、現在、天然成分の防腐剤や乳化剤だけの、天然成分100%のオーガニックコスメがかなりの数で日本の市場に出ているのです。
では、次に、天然成分100%の日本のオーガニックコスメには、どのような防腐成分が使われているのかについてお話し致します。
日本のオーガニックコスメに使われている
天然成分の防腐剤、及び乳化剤について
オーガニックコスメを志向する日本のいくつかの製造会社では、従来の石油系合成成分の防腐剤を一切使うことなく、抗酸化力が高い植物を活用することによって、保存性を高める製造技術の開発に取り組んでいます。
防腐剤にもなる植物エキスは数多くありますが、日本のオーガニックコスメ製造分野では、次のような植物成分が、天然の防腐剤としてよく使われています。
- ■ローズマリーサポニン
- ■グレープフルーツ種子エキス
- ■ヒノキチオール
- ■セイヨウシロヤナギエキス
- ■甘草根エキス
- ■レウコノストック/ダイコン根発酵液
- ■オリーブ葉エキス
- ■オウバクエキス
- ■防腐効果が高い精油類(クラリセージ油、ローズマリー油、フランキンセンス油など)
天然の防腐剤は一種類だけでは防腐力が弱いので、いくつかの種類をブレンドして使用することが多いようです。そのほか穀物から作られたエタノール、すなわちアルコールも天然成分の防腐剤として使われています。
防腐剤のほかに化粧品製造にとって欠かすことのできない成分として、本来混じり合わない水と油を混ぜ合わせるための界面活性剤(乳化剤または洗浄剤)があります。これについても、日本のいくつかの製造会社は、天然100%のオーガニックコスメを実現するために、合成の乳化剤、つまり合成界面活性剤を使うことなく、「石けん素地」、「レシチン」などの天然成分の乳化剤を使っています。
「日本オーガニックコスメ協会」は消費者に対して安心安全なオーガニックコスメを普及するだけではなく、もうひとつの活動として、製造会社に対しても働きかけています。オーガニックコスメ製造会社と協力して、天然成分100%で製品を作るという取り組みにも力を入れてきました。そしてメーカー側からの求めがあれば、天然成分による防腐方法や乳化方法を活用したオーガニックコスメを作るときに必要なアドバイスしています。
消費者の信頼と関わる
コスメ認証基準のレベル
オーガニックコスメの認証基準のレベルは、消費者のオーガニックコスメに対する信頼感と深く関わっています。もし数多くの合成成分の使用を認めるような、甘い認証基準であれば、やがてオーガニックコスメは消費者の信頼を得られなくなることでしょう。
「日本オーガニックコスメ協会」は、オーガニックコスメ認証基準は、メーカー側よりも、消費者側の声を優先して、本当に安心安全な内容にするべきであると考えてきました。そのため「日本オーガニックコスメ協会」は、早くから「オーガニックコスメ基準は、100%天然成分であることをベースにすべき」という提唱をし、国際会議でもそのように発言してきました。
その考えに従って2015年、「日本オーガニックコスメ協会」は、独自で、天然成分100%のオーガニックコスメ基準を作りました。それが「JOCA基準」です。
「JOCA基準」は、「日本オーガニックコスメ協会」が15年以上にわたって、世界の認証団体を現地で取材し、同時に日本の化粧品業界を取材してきた経験をもとにして作りました。
そして同時に「JOCA基準」をクリアしている製品につけることができる「JOCAマーク」も作りました。
日本オーガニックコスメ協会が
天然100%基準にこだわる理由
「JOCA基準」は、ひとつの化粧品を丸ごと、天然成分のみで作ることを求めています。
まず植物エキスについてですが、日本では植物エキスの溶剤としてよく「BG(1,3-ブチレングリコール)」という合成溶剤がよく使われていますが、「JOCA基準」では、合成溶剤によって抽出された植物エキスの使用を認めていません。植物エキスの溶剤は、アルコール、植物オイル、グリセリンなど、天然成分の溶剤を使用することを求めています。
さらに「JOCA基準」では、植物エキスのほかにも、防腐剤や乳化剤なども合成成分にたよらず、天然成分を使うことを原則としてします。
「JOCA推奨品基準」はヨーロッパのコスメ認証基準よりも厳しいものですが、それは消費者のオーガニックコスメに対する信頼感にしっかりと応えたいという考えから作られたからです。
「日本オーガニックコスメ協会」の「JOCA推奨品基準」は、天然成分のみの製造にこだわる厳しい基準を定めることによって、次のことが促進できると考えています。
- 1消費者の立場から、本当に信頼できるオーガニックコスメを普及できる。
- 2オーガニックコスメを製造するメーカーの技術を進歩させることによって、他の製品との差別化をはかれる。
オーガニックコスメは、素肌や人体にとって安全性が高いというイメージがあるからこそ、これまで消費者から支持されてきました。消費者のそのような安心安全を求める声に確実に応えるには、「完全・合成成分フリー、自然界に循環できる天然成分100%」のコスメ製造と、コスメ認証基準が必要です。
天然成分100%の化粧品製造をさらに促進するために、
JOCA成分辞典を発行する
100%天然成分をベースとする「JOCA基準」は、厳しい基準と言えますが、それはたんに理想を基準にしたものではなく、日本のオーガニックコスメ製造の状況を踏まえた現実的なものなのです。
先にも述べましたが、日本の市場に出ているオーガニックコスメ製品を見渡してみると、石油系合成成分を一切使用していない製品が、スキンケアからメイク用品、ヘアケアにいたるすべてのアイテムにおいて存在しています。
石油系合成成分を一切使わない化粧品製造は、今や日本ではたんなる理想ではなく、現実的なものになっているのです。
2022年、現在、42のメーカーの約600点の製品がJOCAマークを取得しています。「JOCAマーク」をつけたいという申し込みは、数多く協会に来るのですが、「JOCA基準」を満たす製品が少ないのが現状です。
そのため「日本オーガニックコスメ協会」は、天然成分100%のオーガニックコスメ製造をさらに支援しようと、この2022年2月には、オーガニックコスメ成分辞典を作りました。この辞典には、どの成分が天然成分なのか、あるいはどの成分が合成成分なのかが一目でわかるようになっているので、JOCAマークを取得できる製品を作りたい製造会社にとっては、とても役立つことと思います。
もちろんこの辞典は、製造会社だけではなく、安心安全な化粧品を選びたい一般消費者にとっても、役にたつものです。
世界へ、天然成分100%の
「ジャパン・オーガニックコスメ」を発信
「日本オーガニックコスメ協会」は、その国の化粧品製造の現実に合わせて、様々なオーガニックコスメ認証基準があるべきと考えています。
そして日本ではすでに、天然成分100%でオーガニックコスメを仕上げることが可能になっている状況があるので、天然成分100%のコスメ基準は日本にはふさわしいものと言えます。またそのことは何より日本のオーガニックコスメへの信頼と評価となっていくはずです。
日本の高いオーガニックコスメ製造技術は、安心安全なコスメを求める世界の消費者の要望に真の意味で応えるものであり、広く伝えていくべき価値あるものと言えます。
さまざまな人工的な合成成分が、環境問題を深刻化させている現代にあって、 今後もオーガニックコスメが継続的に消費者から支持されていくためには、完全に合成成分フリーのオーガニックコスメ製造が求められているのではないでしょうか?
近年は、UVクリームがサンゴ礁にダメージを与えていることが取り上げられ、化粧品の合成成分もまた環境汚染の原因を引き起こしていることが世界的な問題になっています。環境に負担をかけない製品作りという点からも、「完全・合成成分フリー、自然界に循環できる天然成分100%」のコスメ製造とコスメ認証基準が、今の時代に求められています。
その際、天然成分の防腐剤や乳化剤が求められるわけですが、私は、伝統的な植物療法が体系的に残っている韓国には、大きな期待を抱いています。このセミナーの最初に、私は、オーガニックコスメ本来の流れは、一時的なファッションや流行ではなく、はるか昔の時代に遡る植物療法にあることを述べました。
韓国では伝統的な植物療法が今も食事や医療の分野で使われています。
韓国の化粧品会社は、そのような伝統的な植物療法の応用によって、天然成分100%のオーガニックコスメが必要としている、天然成分の防腐剤や乳化剤を開発できる可能性が大きいのではと思っています。
そんな私の思いは、たんなる夢ではなく、実はすでにそうした取り組みが始まっています。
つい最近、日本と韓国の化粧品原料会社が共同で開発したという、天然の防腐剤について情報を得ました。これはスイカズラなど、抗酸化力の高い植物を組み合わせることによって得られたものとのことです。そのような天然の防腐成分は、オーガニックコスメにとって大変大きな意味があります。
アジアから発信、天然成分100%のオーガニックコスメ認証基準
最初にもお話ししましたが、「日本オーガニックコスメ協会」 が監修した単行本 「オーガニックコスメ」シリーズは、2001年からスタートしました。以来、2、 3年おきに、新たな続本が発行されてきましたが、それは消費者に本当に安心安全な化粧品を普及したいという趣旨から制作したものです。そして2020年には、 「オーガニックコスメ」シリーズの第7番目の本として、 「ジャパン・オーガニックコスメ」と いうタイトルの本が発行されました。
この本に掲載されたオーガニックコスメは、天然成分100%で作られた日本ブランドの製品に限りました。それらの掲載ブランド製品はすべて「日本オーガニックコスメ協会」 のJOCAマークを取得しています。
単行本「ジャパン・オーガニックコスメ」は、合成成分を一切、使っていない日本のオーガニックコスメと、そして天然成分100%のコスメ基準を、世界に向けて発信していこうという趣旨のもとに発行されました。
「日本オーガニックコスメ協会」としましては、今後、ぜひ韓国のオーガニックコスメに関わる団体や製造会社の方々とも協力して、天然成分100%のオーガニックコスメ製造を促進したいと願っています。
さらに今後は、日本と韓国がオーガニックコスメ製造について協力するだけはなく、天然成分100%のオーガニックコスメ認証基準についても、ぜひ一緒にアジアから発信していくために協力体制を作りたいと考えています。