JOCA推奨品マークのついた商品を多数取り扱っている「style table 新宿ミロードモザイク通り店」が配信している、生産者・メーカーの生の声が聞けるインスタルーミングより日本オーガニックコスメ協会(JOCA)代表の水上洋子のインタビューが配信されました。
橋岡(はしおか)さん(style table 新宿ミロードモザイク通り店店長)
インタビュイー:
水上(みなかみ)さん(日本オーガニック協会代表)
設立のきっかけはCOSMOS国際会議。認証基準に石油系成分の使用が認められていたことに疑問
橋岡:
まず、JOCA推奨品マークを作られた背景を教えてください。
水上:
オーガニックコスメの認証基準は2008年ごろからアメリカとヨーロッパで作られました。しばらくは各団体によっては基準が異なる状態が続いていましたが、2010年にヨーロッパで有名な5団体、エコサート、BDIH、英国土壌協会、イチュア、コスメビオが集まって、オーガニックコスメの世界統一基準を作ることを目指して「コスモス」が設立されたんです。
2011年には「コスモス」認証基準を発表する国際会議が韓国で開催され、私もこの国際会議に「日本オーガニックコスメ協会」として参加しました。
この会議中に「コスモス」認証基準ではいくつかの石油系合成成分の使用が認められていることを知り、果たしてそのような基準に消費者は納得するのだろうかという疑問を抱きました。
オーガニックコスメ認証マークは一切の合成成分を使わず、天然成分のみで作られた化粧品にのみにつければいいのでは、という気持ちだったので、2%も石油系の成分が入っているものに認証マークがつけられるのはどうなのだろうと心配になりました。
天然成分100%という独自の厳しいオーガニックコスメ基準。日本にはすでにその技術があった!
水上:
いろんな基準があってもいいと思うけれど、もっと厳しい天然成分100%というオーガニック基準があってもいいんじゃないかと考えるようになったんです。
というのも、日本はオーガニックコスメの技術が進んでいて、天然の防腐剤・天然の界面活性剤で化粧品が作れる技術がすでにあるんです。
実は、オーガニック最先進国といっても過言ではないくらい日本は進んでいて、現実的に技術があるので、天然成分100%のオーガニックコスメにマークをつければいいと考えました。
その方がシンプルでわかりやすいし、日本にとっても良いし日本の優れたオーガニックコスメを広報することにもなるので、日本から厳しい基準を発信した方がいいと考えました。そのマークがJOCA推奨品マークです。
JOCA推奨品マーク
本物のコスメがわかる消費者が増える必要がある
橋岡:
私もオーガニックについて勉強して、成分を見るようになったり、知識の大切さを感じています。
水上:
日本は海外から取り入れて進化させていく技術がとても優れているんです。意外と技術をしっかり持っているんです。ただみんながそれを見分けれるかがとても大事なんです。
本物のオーガニックコスメは、成分がだいたいわかるという消費者が増える必要があるんですよね。
今はオーガニックコスメ協会で勉強される方も増えていて、実は一般的な消費者のレベルも日本はかなり高いんです。
日本を活気づける一個の方法としてものオーガニックコスメはいいなと思っています。
JOCA推奨品マークのブランド3つをご紹介
橋岡:
style table 新宿ミロードモザイク通り店でもJOCA推奨品マークがついた商品はすごく人気です。その中でも厳選して3つのブランドについてお聞かせください。
1 アルテ
橋岡:
まずJOCAプロデュースのブランド「アルテ」について教えてください。
水上:
「アルテ」は日本オーガニックコスメ協会が作った会社です。なぜ作ったかというと、天然成分100%で作ろうと思っても、そのモノがないと製造業者さんに作ってもらうのがなかなか難しいんです。
だから、会社を設立して商品を開発することによって、絶対に難しいと言われていたクリーム系も2年かかりましたが、天然成分100%で完成させることができたんです。
従来なかったものを作っていくことができて、日本オーガニック協会としてはぜひ他のメーカーさんにも真似してもらいたいと思っています。
橋岡:
そんなアルテのクリームタイプのクレンジング、店頭でもすごく人気なんです。
水上:
クレンジングはダメージ肌の原因になりやすいので大切なんですよね。とにかく肌に優しいことを目的に作ったクレンジングなんです。
ミルクタイプのクレンジングで、天然の界面活性剤で、遺伝子組み換えもしていないレシチンを使っています。それとローカストビーンガムという粘質のある豆類のエキスを使っているので、本当に天然成分だけで作っています。
お肌が敏感な方はこのクレンジングだけで洗顔としている人もいるみたいですね。このクリームはお肌に残っても大丈夫なくらいなんです。
これも、いいもの作ってみたいという製造者さんとの出会いがあったからできたんです。
橋岡:
水上さんの日本の技術や生産者さんを巻き込んで高める力がすごいですね。
水上:
自分も含めて女性の素肌を守りたいということですよね。自分も皮膚炎でひどいことになったことがあるんです。だから本当に害にならないものを作りたいという意欲がありますね。
橋岡:
乾燥の季節におすすめのリップクリームについても教えてください。
水上:
アルテの特徴のもうひとつは“美容植物”です。伝統的な美容植物を活用した化粧品がいいのではないかと考えています。
もちろん天然成分100%ですが、色が赤いのはシコンという薬草独特の色素です。江戸時代にはやけどに使われたような薬なんです。それを活用したのが「紫草リップクリーム」です。リップクリームですが、乾燥する季節は目のまわりに塗るのもおすすめです。
また、シコンを通じて昔からの伝統植物・美容植物の凄さを実感していただき、自然を大切にしようという気持ちも生まれてほしいと思っています。
2 fruits roots(フルーツルーツ)
橋岡:
続いて「fruits rootsシリーズ」の特徴や魅力について教えてください。
水上:
一般的なエステ業界では、石油合成成分の化粧品を使うことが当たり前になっています。しかしこのfruits rootsシリーズはそんなエステ業界を変えたいという思いで登場したブランドなんです。
代表の榎戸さんは果物に含まれるフルーツ酸のお肌を柔らかくする作用に注目し、そういうもので化粧品を作りたいと考えられたんです。フルーツ酸は硬くなった角質層を柔らかくして取り除き、新しい肌再生を促す働きが期待されているそうです。
また、作るのが難しく生産者も少ないオーガニックフルーツを活用することで有機農家を応援し、そして女性の美にも貢献できることを目指しているんです。
パッケージの可愛さも魅力で、中身もパッケージも良くしたいという趣旨で作られています。JOCA推奨品マークを取得している商品もすごく多いと思います。
3 モリンガ(暮らしっく村)
橋岡:
次に、店頭でもとても注目されている「モリンガ」のシードオイルについて教えてください。
水上:
モリンガはけっこうはまっちゃう人多いですよね。
モリンガはインドでは「奇跡の木」といわれるほど、健康に役立つ植物として知られているんです。もともとは食べるものだったのですが、食べて良いものは、そこから採れたオイルは化粧品にも良いはずだというところから始まったんです。
モリンガの製品はたくさん作られていますが、残念ながら合成成分が混ざっていることもあるんです。ですが、このオイルは天然成分だけでしっかり作られています。
橋岡:
シードオイルはどういうときに使うのがおすすめですか?
水上:
いろんな使い方がありますが、化粧水に混ぜて使うと良いです。
しっかり保湿したいときは直接シードオイルを顔に塗ったあとに天然成分100%の化粧水を塗り込むとちょうどよくしっとりして、クリームのようにすごく馴染むので、乾燥時期にはすごくおすすめです。とてもきれいに、下地のクリーム代わりにも使えてとても良いですよ。
JOCA推奨品マークの商品は間違いなく天然成分100%なのでぜひ使ってみてください。
オーガニックコスメは使ったあとに環境を汚さない。自然を大切にする気持ちが生まれる、持続可能な社会への扉
橋岡:
最後に、水上さんのこれからのビジョンや想いを聞かせてください。
水上:
「withコロナ」の時代の中で、改めてこれまでの生活や仕事の在り方、そして必要なものを見直す人が増えていると思います。人に会えなくなった分、人を大事にしたいという気持ちも出てきていますよね。
堅い言葉でいうと「持続可能な社会(SDGs)」と言いますけど、自然界が健康的なまま循環するよう、今まで通りの活動ではまずいということはみんな考え始めています。
人に優しいだけじゃなくて、自然にも優しい社会を作り直さないといけないと考えている人が増えていると思うんです。
本物のオーガニックコスメは使ったあとに環境を汚さないんです。自分の肌も環境も守ってくれるということを考えると、やっぱり自然のものがいいんですよね。
また、いろんな植物由来のものを使って試すことで自分の肌にいい結果を得ると、改めて自然の優しさや恵みを感じる事ができます。
そういう意味でも、オーガニックコスメが総合的な持続可能な社会への扉であることを実感されると思います。
ぜひオーガニックコスメをきっかけにして総合的なオーガニックライフをみんなが少しずつでいいのでやっていってほしいと思っています。
橋岡:
私たちstyle tableも同じ想いでやっています。そういう社会になっていくように日々お店作りにも励んでいきたいと思います。
とても勉強になり、オーガニックコスメもより使いたくなりました。今回は本当にありがとうございました。
インタビュー全編はインスタルーミングにて
第6回インスタルーミングはこちらからご覧いただけます。
(style table新宿ミロードモザイク通り店のIGTVにリンクします)
気候変動を止めるために、ついに世界は、石油燃料を止め、「脱炭素化」社会に向かって動き出しました。
実は、石油から作られるコスメもまた、環境汚染と気候変動の原因になります。
そんな今だからこそ、日本オーガニックコスメ協会は、改めてコスメの「脱石油」宣言をします。
化粧品の原料は石油
意外にも未だに知らない人も多いのですが、現代化粧品の主要成分は石油です。
スキンケアからメイク用品、そしてシャンプーに至るまで、水以外は、ほぼ石油由来合成成分というのが、現代の一般的な化粧品です。
石油で作られた化粧品が普及したのはほんの90年前からのことで、それは人類史上、かつてなかった異変と言っていいでしょう。
何千年もの間、化粧品は、植物や鉱石などの自然素材から作られてきました。
では、いったい何故、石油が現代化粧品の主役になってしまったのでしょうか?
石油燃料時代が始まった
現代社会において、大量の石油が使われるようになった始まりは、アメリカのペンシルベニア州でのこと。ここは「石油産業発祥の地」として知られていますが、1859年、世界で初めて機械堀りによる石油の大量採掘をしました。
当初、石油はオイルランプに使う灯り用として需要があったのですが、やがてトーマス・エジソンが電球を発明(1879年)したため、石油の使い道は無くなったかに思われました。
しかし間もなくドイツでガソリン車が実用化され、新たに車の燃料としての石油の需要が広がったのです。以後、石油燃料は世界中に普及していくとともに、石油会社は国際的な大企業へと発展しました。
石油が様々な分野で使われるようになった
石油産業が盛んになってくるとともに、燃料以外の石油の使い道も研究されるようになりました。石油を燃料にする過程で、「ナフサ」という余剰生産物が出てきます。効率的な利益を求める石油会社は「ナフサ」を様々な分野で使うことを目指しました。
その結果、「ナフサ」から作られた合成成分は、農薬、医薬品、洗剤、プラスチック製品、合成繊維、合成塗料などなど。つまり私たちの生活周りのありとあらゆるものが、石油由来の合成成分で作られるようになってしまったのです。
そしてまた化粧品もまた原料として石油が使われるようになったのです。
アメリカで作られた石油原料のメイク用品
世界で初めて化粧品が石油で作られたのは、アメリカの映画産業のメッカ、ハリウッドでのこと。美容アドバイザーとして活躍していたマックス・ファクターは、最初は俳優のために石油由来原料を使ったメイク用品を作りました。
当時、メイクをすることは一般女性からは敬遠されており、それは芸能人や花柳界の女性専用のものでした。マックス・ファクターは、一般女性を対象としたメイク用品を販売することを思いつき、その製品化に乗り出しました。その結果、出来上がったのが「パンケーキ」でした。「パンケーキ」は、またたく間に全米の女性に普及し、さらに世界中に広がっていったのです。
石油がもたらした環境汚染と気候変動
石油原料は価格も安く、規格化された大量生産には、たいへん適していました。石油化学は、現代社会に素晴らしい豊かさを与えてくれたように思われました。
しかしやがて石油製品を使い続けることによって様々な問題が露わになってきました。
アメリカで普及した「パンケーキ」は、まもなく深刻な肌トラブルが社会問題となって浮上しました。女性だけがかかる素肌の病気として「女子顔面黒皮病」がアメリカ中に広がりましたが、その問題は海を越え、パンケーキ」が普及した日本でも1970年代に大手化粧品メーカーを相手どった訴訟が起こされました。
石油の合成成分が引き起こした問題は、メイクに限らず、あらゆる分野で見られるようになりました。
農薬、洗剤、塗料などの石油の合成成分は、自然界では循環することができないため、土壌、水、大気に及ぶ環境汚染を引き起こすことが明らかになってきたのです。近年、アレルギーやアトピー症、さらに以前にはそれほど多くなかった疾患が慢性化していますが、それは環境汚染によって起きた体内汚染が関わっています。また年々、すさまじいスピードで動植物の種が絶滅へと追いやられています。
さらに最近では、海のプラスチックゴミ問題が深刻化を増しています。その結果として、年々、魚類などが減少し続けています。
全面的に石油を使わないという選択
そして今、もはや国際社会が目をそらすことが出来なくなっているのが温暖化による気候変動です。化石燃料である石油は、燃料や製品として使えば使うほど、二酸化炭素を放出し続け、その増大によって、年々、地球環境の気温があがり続けるのです。温暖化は、猛暑、大雨、大雪、極度の乾燥による山火事、ハリケーンなどの異常気象となって、私たちの生活を脅かすまでになっています。
1997年に開催された京都温暖化会議以来、世界は二酸化炭素を減らす「低炭素化」社会をテーマにしてきました。しかしそれでは間に合わないのでは?
そしてついに今、化石燃料である石油を使うことを全面的に止めようという動きが出てきました。ヨーロッパでは、この10年以内にガソリン車を廃止する「脱炭素化社会」、そして「脱原子力」を目指しています。
日用品もコスメも「脱石油」宣言を
今、私たちの生活周りにあふれている石油由来製品を見直すことが求められています。今後は、自然界で循環し、地球環境に負担をかけないモノ作りを目指す必要があります。
これまで日本オーガニックコスメ協会は、化粧品の合成成分は、様々な肌トラブルと「経皮毒」による病気の原因になるうることを伝え続けてきました。
さらに気候変動の激化を考えると、もはや石油を私たちの周りの日用品やそして化粧品に使う意味がありません。
そんな今、日本オーガニックコスメ協会は、改めてコスメの「脱石油」宣言をします。
2017年、日本オーガニックコスメ協会は、石油由来原料の全面的な使用禁止を条件としたJOCAマークを作りました。まさにJOCAマークは、コスメの「脱石油」を促進する道標なのです。
一人でも多くの消費者が、出来る限り石油由来の製品やコスメを購入しないことによって、
企業もまたモノ作りを見直さざるを得なくなります。
完全に石油フリーの、真のオーガニックコスメを使うことは、自身の素肌と健康を守るだけではなく、気候変動を止めることにも貢献できるのです。
「aromatopia No.162」に、日本オーガニックコスメ協会の記事が掲載されました。
aromatopia No.162
テーマは、「日本はオーガニックコスメ最先進国
本当に安心安全なオーガニックコスメ基準を求めて」
(3ページ構成)。
掲載原稿
aromatopia No.162 35p~37p
詳しくはこちら
PDFはこちら
本当に安心安全なオーガニックコスメ基準を求めて
日本オーガニックコスメ協会 水上洋子
はじめに
オーガニックコスメというと、その言葉の発祥地はヨーロッパというイメージが日本にはあります。またそのオーガニックコスメ製造技術の最先端は、環境先進国として有名なドイツではと考えられがちです。
しかし実は、今、日本は、世界的にみても、まさにオーガニックコスメ最先端国といっていい状況にあります。「日本オーガニックコスメ協会」は、その現状に基づいて、世界一厳しいオーガニックコスメ基準とJOCA推奨品マークを作り、世界に向けて発信を始めました。
日本で何故、オーガニックコスメが早くから普及したのか?
オーガニックコスメ 上手な素肌の守り方(双葉社)
そもそも「オーガニックコスメ」という言葉が最初に登場したのは、ヨーロッパではなく、まさにこの日本でした。2001年に東京で「オーガニックコスメ―――上手な素肌の守り方」(双葉社)という単行本が発行されたのですが、実はこのとき、まだ世界のどこにも「オーガニックコスメ」という言葉はありませんでした。
この単行本を製作したのは、環境NGOアイシスガイアネットでした。このNGOアイシスガイアネットを主宰したのは、清水童伸氏でしたが、彼は無添加化粧品のPR誌や日本初の環境マガジン発行を手がけたり、イベント「エコプロダクツ」を発案企画するなどの経験を持っている人物でした。清水氏は、市場に石油合成成分を主体にした化粧品が多く出回り、それが原因で、消費者の間に素肌トラブルも増え続けていたことを懸念していました。よりナチュラルで安心安全な化粧品を知らせていきたいと考え、この単行本を発行しました。そして私自身もこの単行本製作チームの一メンバーとして参加しました。
実はこの単行本の「オーガニックコスメ」というタイトルが決まるまでに、ひと悶着がありました。出版社さんの編集部は、聞いたこともない「オーガニックコスメ」という新しい言葉ではなく、「自然コスメ」というわかりやすいタイトルにしたかったのですが、環境NGOアイシスガイアネットの制作チームは、「オーガニックコスメ」は、未来を指し示すとても良い言葉で、きっとこれから流行るはずという主張をしました。結果的には、出版社さんのほうが譲ってくれ、最終的に「オーガニックコスメ」がこの単行本のタイトルになりました。
この単行本が出版されて間もなく、出版社も製作チームも思いがけないほどの反響がありました。この本に掲載された各メーカーに、全国展開をする大型ショップから次々と電話があり、オーガニックコスメの販売コーナーを作ってみたいという連絡があったのです。その後、同じような動きが他の店からもありました。その結果、日本で初めてのオーガニック&ナチュラルコスメのコーナーが日本全国で展開されることになったのです。
つまり日本のオーガニックコスメは、ビジネス的な市場調査の結果ではなく、安心安全な化粧品を消費者に知らせたいという環境NGOの良心的な活動から広がっていったのです。
2007年に私はドイツのオーガニックコスメ事情について現地取材をしました。ドイツのマンハイムにあるBDIH(ドイツ化粧品医薬品商工連盟)の代表を務めるヘラルド・デットマー氏をインタビューした際、彼が「オーガニックコスメ」なんて聞いたこともないと言ったときはとても驚きました。その頃には「オーガニックコスメ」という言葉は、世界的なものになっているという思い込みが私の中にあったのです。
しかし当時、ドイツには「ナチュラルコスメ」という言葉はあっても、「オーガニックコスメ」という言葉はなかったことがわかりました。改めて2001年に東京で発行した単行本のタイトルこそが、世界で初めて「オーガニックコスメ」という言葉が誕生させたものであり、オーガニックコスメはどこよりも早く日本から始まったことを確認しました。
ドイツの取材から日本に帰って間もなく、環境NGOアイシスガイアネットを母体として、新たに「日本オーガニックコスメ協会」が設立されました。
天然成分100%の化粧品製造技術において、日本は世界一
実は、今、日本は天然成分100%で作られたコスメが世界一、市場に多く出ています。
それというのも日本の製造者は、目標を定めるといち早く実現するという素晴らしい力を持っているからです。
「日本オーガニックコスメ協会」は、2010年、日本で天然成分100%の化粧品技術を向上させるために、「アルテ」という化粧品会社をたちあげました。消費者の安心安全性を考えると天然成分100%の化粧品が望ましいということを伝えていこうとするとき、実際にそういう化粧品が存在しなければ、単なる理想になってしまうからです。
そのために、「日本オーガニックコスメ協会」の意図に共感してくれるいくつかの製造会社と協力して、防腐剤も界面活性剤も天然成分という化粧品開発を続けてきました。その結果、長い期間はかかりましたが、完全・合成成分フリーの化粧水やクリームを実現させることが出来ました。
たとえば現在、実際にオーガニックコスメによく使われている天然の防腐剤というと、次のようなものがあります。
もちろん天然の防腐剤は、ひとつだけでは確実ではないので、いくつかの防腐剤を組み合わせることもよくされています。
いっぽう天然の界面活性剤としては、レシチンや石鹸素地などが天然成分100%のオーガニックコスメによく使われています。
従来より、化粧品は、「完全に天然成分だけで製造するのは不可能」という常識が製造会社に有り続けたのですが、しだいに「日本オーガニックコスメ協会」は、「天然成分100%の化粧品製造は可能」であると確信するようになりました。
消費者の安心安全のために、世界一厳しいJOCA基準を日本から発信
2010年より、EUからオーガニックコスメ認証基準が発信され始めました。それまで「日本オーガニックコスメ協会」は、何度か国際会議に出席し取材を重ねて、EUの認証基準の詳細を知ることとなりましたが、結果的には、疑問を抱くようになりました。
というのも、いくつかの石油由来の防腐剤や界面活性剤の使用が認められていたからです。とくに防腐剤について見てみると、EUのオーガニックコスメ基準で使用が認められている「安息香酸Na」や「ソルビン酸K」などは、日本の旧厚生省が定めていた「102種類の表示指定成分」の中に入っていた成分で、石油系合成成分です。
「表示指定成分」とは、アレルギー性があるので、表示が義務付けられていた成分です。
はたしてアレルギー性がある合成成分の使用が認められている認証基準は、オーガニックコスメにふさわしいと言えるだろうか?
そのような基準が、世界的に広がることは、結果的には、消費者のオーガニックコスメへの信頼が揺らぐことになるのではないだろうか?
そんな疑問は、やがて、むしろ日本から天然成分100%のオーガニックコスメ認証基準を発信していくべきではという結論に至りました。
2017年、「日本オーガニックコスメ協会」は、独自で天然成分100%のオーガニックコスメ基準を定め、JOCA推奨品マークを作りました。
JOCA推奨品マーク
「日本オーガニックコスメ協会」の立場は、オーガニックコスメの販売を促すという以前にまずは消費者にとって本当に安心安全なコスメを知らせていくことにあります。合成成分が入り混じったあいまいなオーガニックコスメが増えても、あまり意味がないのではと考えています。
「JOCA推奨品マーク」を作ったことにより、たとえ化粧品の成分がよくわからない消費者であっても、確実に天然成分100%の製品を選ぶことが出来るようになりました。また最近は、化学物質過敏症の方から、このJOCAマークを指標に化粧品選びをしているとの連絡を頂きました。
「日本オーガニックコスメ協会」は、JOCA推奨品マークと天然成分100%のコスメ基準を積極的に普及するために、2020年3月、単行本「ジャパン・オーガニックコスメ」を発行し、全国書店に配布しました。幸いにも現在、この本をきっかけにして、さまざまなショップから日本のオーガニックコスメを販売するコーナーを作りたいという企画や申し出が来ています。すでに銀座や代官山では、JOCA推奨品マークがついた天然成分100%のオーガニックコスメを販売するショップが登場して、話題を呼んでいます。
単行本「ジャパン・オーガニックコスメ」
おわりに
コロナ禍の期間を経て、輸送の問題からも海外化粧品の不安定さが見えはじめ、改めて国産化粧品が見直されています。「日本オーガニックコスメ協会」は、天然成分100%の国産オーガニックコスメは、世界に誇る最先端技術の結晶であり、それもまた日本の素晴らしいソフトを世界に伝えていくことになると確信しています。
水上洋子 プロフィール
一般社団法人 JOCA日本オーガニックコスメ協会 代表。札幌市出身。同志社大学・文化史学科卒業。
1980年代、作家として、女性の自立と仕事、恋愛をテーマに「恋愛以上」(角川書店)、「ハーフムーン」(講談社)、「新・女の幸福論」(角川書店)、「迷宮の月の下で」(角川書店)、「ユニコーンによろしく」(角川書店)などの著作50冊以上を執筆。その後、環境と女性をテーマにした雑誌「アイシスラテール」を発行。単行本「オーガニックコスメ」シリーズの監修を務める。
<日本オーガニックコスメ協会の活動>
2007年、「日本オーガニックコスメ協会」を設立。
2010年、「JOCAオーガニックコスメ・アドバイザー養成講座」を開設。
2012年、IFOAM(国際有機農業運動連盟)の世界会議にて、オーガニックコスメ認証基準団体「コスモス」の発表会に日本代表として参加する。
2015年、韓国で開催された「国際オーガニック産業エキスポ」にて、日本代表として、「日本のオーガニックコスメの現状」というテーマで講師を務める。
最近は、国内のオーガニックや化粧品関連の各イベントで講演をしている。
昨今、改めて「持続可能な社会」が注目されていますが、ただ今、文化放送にて、「SDGs」とオーガニックコスメと言うテーマが、五日間にわたって放送されています。
インタビュアーは、西川あやのアナウンサー、話し手は、日本オーガニックコスメ協会の水上洋子です。
消費者の安心安全、環境保全型農業、環境を守るモノ作りなど、オーガニックコスメが提案する世界観がさらに見えてくることと思いますので、ぜひ聞いてみてください。
※放送は終了しました。
※オンエアの情報は以下になります。
オーガニックコスメから新しいライフスタイルが見えてくる
今、市場にかなりのオーガニックコスメが出ていますが、残念ながら合成成分が入り混じったオーガニックコスメが多いのが実情です。
それは、オーガニックコスメショップの経営者やスタッフも、あいまいな化粧品の知識しか持っていないためです。
海外のオーガニックコスメ認証マークがついている化粧品であっても、合成防腐剤が使われており、基準そのものについても見直す必要性もあります。
そんな中にあって、「日本オーガニックコスメ協会」は、天然成分100%の本物のオーガニックコスメを普及するための活動を続けてきました。
化粧品成分についてわかる消費者が増えれば、もっと本物のオーガニックコスメが増えるはずです。そんな考えのもとに「日本オーガニックコスメ協会」は、オーガニックコスメについて正しい知識を持っているスペシャリストを育てることに力を入れてきました。
「JOCAオーガニックコスメ・アドバイザー講座」は、自分自身の化粧品を選ぶときに、そして化粧品関係の仕事をしている人に、確かな知識をそして自信をつけてくれることでしょう。
そしてまた、ただオーガニックコスメについて学ぶだけではなく、地球環境と共存するライフスタイルの大切さを実感することにもなるでしょう。
» オーガニックコスメ・アドバイザー通信講座へのお申込はこちらから
ひとつのお店にそれほど多く天然成分100%の国産オーガニックコスメがあるのは、日本初のこと。本物を求めるオーガニックコスメ派には、嬉しいお店
完全・天然成分の国産オーガニックコスメが
こんなに多く揃った店は、日本初のこと
2020年3月に日本オーガニックコスメ協会から発行された単行本「ジャパン・オーガニックコスメ」。
この単行本に掲載されているのは、31メーカーのオーガニックコスメ。すべてJOCA推奨品マークをしている、天然成分100%の国産オーガニックコスメが選ばれました。
JOCA推奨品マークは、完全・合成成分フリーで製造されることを基準としていますが、それは世界のコスメ基準の中でも最も厳しいものになっています。
単行本「ジャパン・オーガニックコスメ」が、そのままショップのコーナーになりました。単行本に掲載されたすべての商品があり、テスターで試すこともできます。
日本オーガニックコスメ協会がそのような厳しい基準を定めた理由は、使う人が本当に安心して使ってほしいから。そして各メーカーにも本当に安全なものを作ってほしいからです。
その単行本の思いをショップでも展開してみたい!
それが「Be オーガニック」の中の一コーナーになりました。
ここでは、単行本「ジャパン・オーガニックコスメ」に掲載されたすべての商品があり、テスターで試すこともできます。
「日本オーガニックコスメ協会」がプロデュースした『アルテ』のコスメも「Be・オーガニック」に。「JOCA推奨品マーク」は、完全・合成成分フリーで製造されることを基本条件としており、それは世界のコスメ基準の中でも最も厳しいものになっています。
今、現実的に化粧品を完全に天然成分のみで作ることは可能になっています。本物のオーガニックコスメをぜひみなさんの手に届けたい。また日本の素晴らしい美容植物についても知ってほしい、良心的な国産メーカーがあることを知ってほしいーーー単行本「ジャパン・オーガニックコスメ」から飛び出したそんな思いがショップの中でJOCAコーナーになっています。
完全・合成成分フリーであることを保証する、31ブランド約150点のJOCA推奨品コスメが「Be オーガニック」に揃っています。ひとつのお店にそれほど多く天然成分100%の国産オーガニックコスメがあるのは、日本初のことで、それもまた「Beオーガニック」を訪れる人たちの魅力になっています。
環境問題や温暖化問題も発信するコスメショップ
「Be オーガニック」店の中央には、環境問題の著書で知られる竹村真一教授がプロデュースしたデジタル地球儀がおいてあります。
ショップ内に輝く、美しい地球
店の中心で輝く地球儀。環境問題を提示する地球儀をショップに置くことで、オーガニックコスメを使う女性が、21世紀にふさわしい生き方と調和していることを示しています。
この地球儀には、世界の再生可能エネルギーの使用量などが登録されており、国別に見ることができます。リアルタイムの気象情報や地震・津波、渡り鳥やクジラなどの地球移動、人口爆発や地球温暖化など、生きた地球の姿が映し出されています。
そのような地球儀をショップに置くことで、オーガニックコスメを使う女性が、いっぽうで地球環境や持続可能な社会などにも関心を抱いていることを伝えていきたいと考えています。それによって、21世紀にふさわしい新たな女性像を提起しています。
オーガニックコスメと地球環境
「Beオーガニック」の斬新な取り組み。コスメショップでありながら、こんな本もディスプレーしています。オーガニックコスメは、地球環境問題を考えるきっかけになります。
お店からオーガニック発信
基本的には、「Beオーガニック」は、コスメショップですが、オーガニックコスメだけではなく、総合的にオーガニックを発信できる場にしたいと考えています。いらしたお客様に再生可能エネルギー、温暖化問題も提案できるような店を目指しています。
基本的には、オーガニックコスメショップですが、オーガニックコスメだけではなく、総合的にオーガニックを普及できる場にしたいと考えています。いらしたお客様に再生可能エネルギー、温暖化問題も提案できるような店を目指しています。
銀座方面にお出かけの際には、ぜひ一度、のぞいてみてください。